# 繁忙期は月休4日、家族との時間を取り戻すため退職した話

  • 名前: S.Yさん(仮名)
  • 年齢: 36歳
  • 経験年数: 10年(リゾートホテル・レストランサービス)
  • 勤務先: リゾートホテルのレストラン部門

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Q: ホテル業の勤務体系はどのようなものでしたか?

リゾートホテルのレストランサービスは、朝食・ランチ・ディナーの3つの時間帯をカバーする必要があります。私は主にディナー担当で、通常は15時〜24時の勤務でした。

問題は繁忙期です。夏休み(7〜8月)、年末年始、ゴールデンウィークは休みがほとんどありません。8月は月休4日ということもありました。しかも繁忙期は朝食ヘルプに入ることもあり、朝7時から深夜0時まで働く日も。

閑散期(1〜2月)はまとめて休めましたが、繁忙期の疲労が蓄積していて、連休をもらっても体を回復させるだけで終わる状態でした。

Q: 家族との関係はどうでしたか?

入社7年目に結婚しました。妻は地元で会社員をしていたのですが、リゾートホテルは地方にあるため、結婚後も別居が続きました。月に2〜3回、閑散期にまとめて帰省する形でした。

8年目に子どもが生まれました。出産には立ち会えましたが、育休は1週間しか取れませんでした。ホテル側は「男性の長期育休は前例がない」と。

子どもの成長を見る機会が極端に少ないのがつらかったです。初めて歩いた瞬間、初めて話した瞬間。全部妻から送られてくる動画で知りました。

Q: 家族と一緒に住むことは検討しましたか?

妻にリゾート地への引っ越しを提案したことがあります。しかし、ホテルの周辺は保育園や病院が少なく、妻の仕事もない。「子育て環境としては不安」と言われ、断念しました。

逆に、私が都市部のホテルに異動を希望しましたが、「レストランサービスの経験者が足りない。異動は当面ない」と断られました。

Q: 退職を決めたきっかけは?

子どもが2歳になった時、久しぶりに帰省したら泣かれました。「知らない人が来た」と。それがショックで、帰りの電車の中で涙が止まりませんでした。

もう一つのきっかけは、ベテランの先輩の姿です。50代の先輩は単身赴任歴20年で、家族とはほぼ別居状態。「俺みたいになるなよ」と冗談めかして言っていましたが、あれは本音だったと思います。

妻と話し合い、「家族一緒に暮らすこと」を最優先にすると決めました。

Q: 退職届はどのように出しましたか?

レストラン支配人に「家族の事情で退職したい。都市部で転職する」と伝えました。支配人は「残念だが家族が大事だ。分かった」と理解してくれました。ホテル業界はこういう理由の退職が多いので、受け入れてもらいやすかったです。

退職届は総支配人宛てに提出。退職日は繁忙期を避けて、閑散期の2月末に設定しました。ホテルに迷惑をかけないよう配慮した結果、退職の意思を伝えてから実際の退職まで3ヶ月ほど空きました。

  • ディナーサービスの手順書(コース料理のサーブタイミング、ワインの知識)
  • 常連ゲストの好み一覧(アレルギー情報含む)
  • 季節ごとのメニュー変更の段取り
  • 婚礼・宴会サービスの進行マニュアル
  • 食器・カトラリーの在庫管理方法

Q: 退職後の生活はどう変わりましたか?

妻の住む都市部に引っ越し、ブライダル企業のプランナーとして就職しました。ホテルでのサービス経験と宴会対応のノウハウが直接活きています。年収は前職とほぼ同じですが、土日出勤はあるものの平日に代休が確実に取れます。

何より、毎日子どもの顔を見られることが幸せです。朝一緒に朝食を食べて、夜は寝かしつける。当たり前のことが、以前はできなかった。

ホテル業で家族との時間に悩んでいる方は、「いつか落ち着いたら」と先延ばしにしないでほしいです。ホテル業に「落ち着く時期」は来ません。家族の時間は今しかないんです。転職しても、ホテルで培ったホスピタリティのスキルは必ず活かせます。