# 夜勤続きで睡眠障害に、心身の限界で退職した話
- 名前: G.Nさん(仮名)
- 年齢: 33歳
- 経験年数: 8年(ビジネスホテル・ナイトフロント)
- 勤務先: ビジネスホテルチェーン(全国約100店舗)
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Q: 夜勤の勤務体系はどのようなものでしたか?
ナイトフロントとして、22時から翌朝8時までの勤務でした。最初の3年間は月の半分が夜勤、残り半分が日勤というシフトでしたが、人手不足が深刻になり、5年目からはほぼ夜勤専従になりました。
夜勤の業務は、深夜のチェックイン対応、防犯巡回、翌朝のチェックアウト準備、経理処理(日計表の作成)などです。お客様が少ない深夜帯は比較的落ち着いていますが、酔ったお客様への対応や急病人の救急対応など、突発的なトラブルが起こると一気に緊張します。
一人体制の夜勤も多く、何かあった時に頼れる人がいない不安が常にありました。
Q: 体調に異変を感じ始めたのはいつですか?
4年目くらいからです。夜勤明けに帰宅しても眠れなくなりました。カーテンを遮光にしても、耳栓をしても、脳が覚醒したまま。眠れないまま次の夜勤に入り、仮眠室で30分だけ寝て乗り切る。そんな生活でした。
- 日中の強烈な眠気(運転中に意識が飛ぶことがあった)
- 慢性的な頭痛
- 食欲不振(夜中に食べると胃がもたれるが、食べないと力が出ない)
- 集中力の著しい低下(計算ミスが増えた)
- 気分の落ち込み(何をしても楽しくない)
内科を受診したところ「概日リズム睡眠障害」と診断されました。体内時計が完全に狂ってしまった状態です。
Q: 会社には相談しましたか?
支配人に「日勤に戻してほしい」と何度も相談しました。しかし「日勤は人が足りている。夜勤をやれるのはお前だけだ」と断られました。
産業医面談も受けましたが、「夜勤の頻度を減らすことが望ましい」という意見書が出ただけで、実際のシフトは変わりませんでした。ホテルは24時間営業なので、誰かが夜勤をやらなければならない。その「誰か」が常に私でした。
6年目に睡眠薬を処方されましたが、夜勤明けに薬で無理やり寝る生活は根本的な解決にはなりませんでした。
Q: 退職を決断したきっかけは?
7年目のある夜勤中に、突然めまいがして倒れました。幸い防犯カメラで警備会社が気づいてくれて大事には至りませんでしたが、救急車で運ばれました。
病院で「このまま夜勤を続けると、高血圧、糖尿病、うつ病のリスクが著しく高い」と言われました。夜勤による健康リスクは医学的にも証明されていて、WHO(世界保健機関)も長期の夜勤は発がんリスクを高めると発表しています。
倒れた時に「このまま死ぬかもしれない」と本気で思いました。それが退職の決断になりました。
Q: 退職届はどう出しましたか?
退院後、支配人に電話で退職の意思を伝えました。「診断書が出ているので夜勤の継続は不可能です」と明確に言いました。支配人は「後任が見つかるまで待ってくれ」と言いましたが、「体調上の理由で待てません」と断りました。
退職届は郵送で提出しました。退職日は1ヶ月後に設定。最後の1ヶ月は日勤のみにしてもらい、引き継ぎを行いました。
- ナイトフロントの業務タイムスケジュール
- 深夜トラブル対応マニュアル(酔客、急病人、不審者、設備故障)
- 日計表の作成手順
- 防犯巡回のルートと確認ポイント
- 早朝チェックアウトの対応フロー
Q: 退職後の回復について教えてください。
退職後の最初の1ヶ月は、ただひたすら「夜寝て朝起きる」生活を心がけました。最初は夜になっても眠れず、朝方に眠くなるという夜勤の体内リズムが抜けませんでしたが、2週間ほどで改善しました。
3ヶ月後には睡眠薬なしで7時間眠れるようになりました。頭痛も食欲不振も解消。「普通に眠れるって、こんなに幸せなことだったんだ」と実感しました。
今は日勤固定の事務職に就いています。ホテルでの経験(接客、事務処理、危機管理)は事務職でも活きています。年収は前職より下がりましたが、夜勤手当がなくなった分を差し引くと、基本給ベースではほぼ同じです。
夜勤で体調を崩している方は、「手当のために健康を犠牲にする」選択を見直してください。体は取り替えられません。日勤の仕事は探せばたくさんあります。