2024年問題を背景にドライバー不足が深刻化する中、「人手が足りないから辞められない」と悩むドライバーは増えています。しかし、人手不足は会社の経営課題であり、ドライバー個人が退職を我慢する理由にはなりません。
2024年問題とドライバー不足
2024年問題の影響
2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(年間960時間)により、1人あたりの稼働時間が制限されました。同じ物量を運ぶためには、より多くのドライバーが必要になり、人手不足が一層深刻化しています。
不足の規模
国土交通省の試算によると、2028年度には約27万人のドライバーが不足するとされています。この数字は業界全体で見たものであり、中小の運送会社ほど深刻な状況に置かれています。
ドライバーが辞めたがる悪循環
人手不足の会社では、残ったドライバーに過度な負担がかかり、それが原因でさらに退職者が出るという悪循環に陥っています。
「辞めさせてもらえない」への法的対応
退職は労働者の権利
民法第627条により、期間の定めのない雇用契約(正社員)の場合、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。会社の承諾は不要です。「人手が足りないから辞めるな」という主張に法的拘束力はありません。
よくある引き止めの手口と対処
「次のドライバーが見つかるまで待ってくれ」
法律上、後任の確保は会社の責任です。合理的な引き継ぎ期間(1ヶ月程度)は協力するとしても、無期限に退職を延期する義務はありません。
「急に辞めたら損害賠償を請求する」
通常の退職手続き(2週間前の意思表示)を踏めば、損害賠償が認められることはほぼありません。この脅しに屈する必要はありません。
「繁忙期が終わるまで辞めるな」
繁忙期の配慮は社会人としてのマナーですが、法的義務ではありません。繁忙期を理由に退職を認めないことは違法です。
「免許取得費用を返せ」
労働基準法第16条は損害賠償額の予定を禁止しています。免許取得費用の返還条項は、金額や期間によっては無効となる場合があります。
退職を認めてもらえない場合の具体的手順
ステップ1: 書面で退職届を提出する
口頭で伝えても無視される場合は、退職届を書面で提出し、提出日付入りのコピーを保管します。
ステップ2: 内容証明郵便で送付する
退職届を受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で代表取締役宛に送付します。配達証明も付けることで、届いた日付を証明できます。届いた時点から2週間で退職が成立します。
ステップ3: 労働基準監督署に相談する
退職の自由を認めない行為は労働基準法に抵触する可能性があります。労働基準監督署に相談すれば、会社への指導を行ってくれます。
ステップ4: 退職代行サービスを利用する
自分で交渉するのが困難な場合は、退職代行サービスの利用を検討しましょう。弁護士型であれば法的なトラブルにも対応可能です。
退職前にやっておくべきこと
証拠の保全
長時間労働の記録(デジタコ、運転日報、給与明細)を確保しておきましょう。特定受給資格者の認定に役立ちます。
有給休暇の残日数確認
有給休暇の残日数を確認し、退職届に有給消化のスケジュールも記載しておきましょう。
転職先の確保
人手不足の今、ドライバー経験者の転職市場は好調です。在職中に転職活動を進め、次の仕事を確保してから退職届を出すのが理想です。
周囲への配慮
法律上は2週間前の通知で退職できますが、円満退社を目指すなら1ヶ月前には伝え、可能な範囲で引き継ぎに協力しましょう。ただし、配慮と我慢は別物です。自分の健康やキャリアを犠牲にしてまで残る必要はありません。