インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 高橋 真由さん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 歯科衛生士歴8年
- 勤務先: 個人歯科クリニック
- 転職先: 大学病院口腔外科
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Q: 転職を考え始めたきっかけは何でしたか?
個人のクリニックで8年間、スケーリングやSRP、ホワイトニングなど一通りの業務をこなしてきました。院長との関係も良好で、患者さんにも恵まれていて。でも、5年目くらいから「自分の成長が止まっている」と感じるようになったんです。
毎日同じような処置の繰り返しで、新しい知識や技術を学ぶ機会がほとんどなかった。外部のセミナーに行きたくても、土曜日は診療があるので参加できない。個人クリニックだと、院長の方針で使える機材も限られるし、症例の幅も狭いんですよね。
学会で発表している衛生士さんの話を聞いて、「自分もああなりたい」と思ったのがきっかけです。歯周病の認定衛生士の資格を取りたいという目標もできました。
Q: 大学病院を転職先に選んだ理由は?
大学病院なら、さまざまな症例を経験できますし、認定衛生士の取得に必要な研修も受けやすい。論文の指導を受けられる環境もあります。給与面でも、前のクリニックの年収320万円から大学病院では年収400万円にアップ。賞与も年2回しっかり支給されます。
デメリットとしては、大学病院特有の組織の堅さや、事務作業の多さがありますが、キャリアアップのためなら受け入れられると思いました。
Q: 院長にはどう伝えましたか?
これが一番悩みました。個人クリニックの衛生士が辞めると、院長にとっては大きな打撃です。衛生士3人のうち1人が抜けると、診療体制にも影響が出ます。
院長には1ヶ月半前に、診療後に時間をもらって伝えました。「歯周病の認定資格を取るために、より専門的な環境で学びたい」という前向きな理由を正直に話しました。院長は最初は驚いていましたが、「真由さんが成長したいと思う気持ちは止められない。応援するよ」と言ってくれました。
ただ、「後任が見つかるまでは待ってほしい」と言われ、退職日を2ヶ月後に設定しました。その間に求人を出して、引き継ぎ相手を見つけることになりました。
Q: 引き継ぎではどんなことをしましたか?
定期検診の患者さんのリストと、それぞれの口腔内の状態、注意点を詳しく記録しました。歯周病の管理中の患者さんは特に丁寧に。「この方は右上6番のポケットが深いので要注意」「この方はフロスの習慣がついてきたので褒めてあげて」など、細かいところまで。
後任の衛生士さんが決まってからは、2週間ほど一緒に診療に入って、医院のルーティンや器具の使い方を教えました。院長の好みのアシストの仕方も伝えて(笑)。
Q: 退職届の提出で気をつけたことは?
個人クリニックなので、宛名は院長名にしました。「一身上の都合により」という定型文で、退職日と提出日を記載。手書きで丁寧に書いて、白封筒に入れて院長に直接手渡しました。
診断書などは不要でしたが、退職届を出すタイミングは口頭で伝えた後にしました。いきなり退職届を渡すのは失礼だと思ったので、まず話し合って合意してから正式な書面を出す、という流れです。
Q: 転職後の変化を教えてください。
大学病院では、インプラント周囲炎の管理やがん患者の口腔ケアなど、個人クリニックでは経験できない症例に携わっています。ドクターや他職種との連携も学べて、視野が広がりました。
認定衛生士の試験にも合格し、学会発表も経験できました。年収も上がって、福利厚生も充実。有給もきちんと取れます。あのとき勇気を出して動いてよかったと心から思います。
Q: キャリアアップを目指す歯科衛生士にアドバイスはありますか?
「居心地の良さ」に甘えないことです。個人クリニックは家族的で働きやすいですが、それが成長の妨げになることもあります。今の環境で学べることがなくなったと感じたら、次のステージを考える時期です。
転職活動は、歯科衛生士専門の求人サイトを使うと条件比較がしやすいです。履歴書には、対応できる処置の種類、担当患者数、取得している資格を具体的に書きましょう。
そして退職時は院長との関係を壊さないこと。歯科業界は狭いので、円満退職が将来のキャリアに影響します。感謝の気持ちを持って、引き継ぎは完璧に。