辞職願を提出した後、事情が変わって撤回したい場合があります。公務員の辞職撤回について、法的な根拠と実務上のポイントを解説します。
撤回できるタイミング
原則: 任命権者の承認前なら撤回可能
公務員の辞職は任命権者の「承認」によって効力が発生します。そのため、承認前であれば辞職願の撤回は原則として可能です。
| 段階 | 撤回の可否 |
|---|---|
| 辞職願を上司に提出した直後 | 撤回可能 |
| 人事部門で審査中 | 撤回可能 |
| 任命権者が承認した後 | 撤回不可(原則) |
| 退職日を過ぎた後 | 撤回不可 |
判例・行政実例の考え方
辞職の意思表示は、任命権者の承認があるまでは撤回できるというのが行政実例上の一般的な考え方です。ただし、承認手続きが相当程度進んでいる場合は、信義則上の制約を受ける可能性があります。
撤回の手続き
撤回の方法
- 1 速やかに上司に口頭で伝える: まず直属の上司に撤回の意思を口頭で伝える
- 2 書面で撤回届を提出: 口頭だけでなく、書面でも撤回の意思を明確にする
- 3 人事部門に確認: 承認手続きの進捗を確認し、撤回が間に合うか確認する
撤回届の書式
特定の書式が定められていない場合が多いですが、以下の内容を含めます。
- 日付
- 宛先(任命権者)
- 所属・氏名
- 「令和○年○月○日付で提出した辞職願を撤回いたします」という趣旨の文言
- 撤回理由(簡潔に)
承認後の撤回は可能か
原則として不可
任命権者の承認後は、辞職の効力が発生しているため、原則として撤回はできません。
例外的に認められるケース
- 錯誤: 重要な事実について誤解があった場合
- 強迫: 辞職を強要された場合
- 心裡留保: 真意ではない辞職の意思表示(ただし相手方が知り得た場合のみ)
これらのケースでは、辞職の意思表示自体が無効または取消し可能となる場合があります。ただし、立証が必要であり、弁護士への相談が不可欠です。
撤回後の職場への影響
想定される影響
- 上司や同僚との関係がぎくしゃくする可能性がある
- 後任の人事が進んでいた場合、人事計画の変更が必要になる
- 人事評価に影響する可能性がある(法的には不利益扱い禁止だが、実態として)
影響を最小限にするポイント
- できるだけ早い段階で撤回する
- 撤回理由を誠実に説明する
- 後任人事が進んでいた場合は、配慮の姿勢を示す
撤回を防ぐための事前対策
辞職願を提出してから撤回するのは、本人にとっても組織にとっても負担が大きいものです。以下の点を確認してから提出しましょう。
- 退職後の生活設計は十分か
- 転職先は確定しているか(内定取消しのリスクはないか)
- 一時的な感情で判断していないか
- 信頼できる人に相談したか
- 休職や異動で解決できる問題ではないか