# 【座談会】退職後の年金・共済はどうなる?不安だったこととその後の現実
座談会参加者
- Aさん(38歳・県庁 12年勤務で退職、現在3年経過)
- Bさん(44歳・市役所 18年勤務で退職、現在1年経過)
- Cさん(35歳・市役所 10年勤務で退職、現在5年経過)
---
「年金がどうなるのか」への不安
司会: 退職前、年金について何が不安でしたか?
A: 「共済年金から国民年金に替わる」ということは分かっていたんですが、その「差」が具体的に分かりませんでした。共済年金は「手厚い」と聞くけど、実際にはいくら差があるのか。その不安がありました。
人事課に資料をもらいました。「25年間の勤務で、将来の年金額は月15万円程度」と書かれていた。その数字だけでは、判断できませんでした。
B: 「空白期間」が怖かったです。共済組合の資格喪失から、転職先の厚生年金加入まで、1ヶ月間の空白がありました。その1ヶ月間の年金は「誰が払うのか」「その期間は年金受給額に反映されるのか」。その不明確さ。
結果的には、転職先の入社日を「1日違う」で調整して、空白期間をゼロにしました。でも、退職手続きの段階では、その調整方法が分かっていませんでした。
C: 私は、公務員期間(10年)と民間企業期間(5年)が通算されるかどうかが不安でした。年金受給資格は「25年の被保険者期間」という要件があります。公務員10年+民間5年=15年。あと10年必要。
その「通算」の手続きが複雑で、人事課に何度も問い合わせました。結果的には、自動的に通算される(共済記録と厚生年金記録が統合される)というシステムなんですが、その説明を受けるのに時間がかかりました。
---
実際の年金額(シミュレーション)
司会: 実際の年金額は、どれくらいになりそうですか?
A: 人事課のシミュレーションでは、月15万円。でも、その後、転職先の厚生年金に加入しました。その期間も年金額に反映されます。
総務省の「年金シミュレーター」を使ってみたら、月19万円程度になる見込み。ただ、転職先の給料が県庁より安い(年400万円 vs 年500万円)ため、厚生年金の納付額も減ります。その結果、年金額も少し減るかもしれません。
結局、月15〜20万円の間、という見積もり。老後資金としては「不十分」。その分を貯金で補う必要があります。
B: 市役所での厚生年金部分は、約月12万円程度。その後、転職先(大手企業)での厚生年金加入で、給料が上がった分、納付額も増えました。その結果、月16万円程度の見積もり。
公務員の月給が約45万円。その約30%が老後資金(年金)になる、という感覚。やはり不十分です。
C: 私の場合は複雑です。公務員10年(月12万円相当)+民間5年(月4万円程度)=月16万円。この数字は、「65歳からの受給額」であり、今の40代の生活費とは別。
また、年金は「生涯支給」されますが、その期間が「何年か」は分かりません。長生きするほど得になります。ただ、その「不確実性」があるので、やはり貯金が必要です。
---
退職手当(一時金)の活用
司会: 退職手当は、どう活用しましたか?
A: 県庁12年で、約180万円。税金も引かれるので、手取りは約140万円。
その140万円をどう使うか、が重要でした。当初は「生活費の足し」として使おうと思っていました。でも、人事課の「退職手当の案内」を読んで、気づきました。
「退職手当の全額を個人年金保険に充てると、税控除の対象になる」という制度。退職手当の50%(約70万円)を年金保険に充てることで、数万円の税控除を受けました。
結果的に、140万円のうち、70万円を年金保険に、70万円を生活費に。その年金保険は、65歳からの上乗せ年金として受け取る見込み。
B: 市役所18年で、約330万円(税抜き)。税金は約80万円。手取りは約250万円。
この250万円が、転職活動の「心の支え」になりました。転職先が決まるまで3ヶ月。その間の生活費は、この退職手当で賄いました。
また、転職先の給料が市役所より低い(月5万円程度)ため、その差を補うために、毎月5万円を貯金から引き出していました。その貯金ペースを支えたのが、この退職手当です。
C: 市役所10年で、約160万円。手取り約120万円。
この120万円を、今後の「教育資金」と「老後資金」に充てました。子どもが小学生なので、塾費用が必要。その塾費用の5年分を、この退職手当から。
また、30万円は「個人年金保険」に。残り90万円は、「貯金」として温存。
---
健康保険の選択
司会: 退職後の健康保険は、どう選びましたか?
A: 共済の「任意継続」と「国民健康保険」を比較しました。
共済の任意継続:月2.5万円。保障内容は在職中と同じ。 国民健康保険:月4千円。でも、保障内容は劣ります。
結果的に、転職先の厚生年金に加入予定だったので、転職日まで「共済の任意継続」を選びました。3ヶ月で約7.5万円の支出。
その後、転職先の健康保険に加入。月1.5万円(給与天引き)。転職先の給料が低いので、保険料も低い。
B: 転職先がすぐに決まったので、共済の任意継続は選ばず、転職先の厚生年金に直接加入。その間の1ヶ月だけ、国民健康保険で対応。月4千円。
C: 転職先が決まっていなかったので、共済の任意継続を2年間利用しました。月2.5万円 × 24ヶ月 = 60万円。
その後、転職先の厚生年金に。
---
「老後資金への漠然とした不安」
司会: 退職後、「老後大丈夫か」という不安は解消されましたか?
A: 全く解消されません。年金月15〜20万円では、老後の生活費は足りません。厚生労働省の調査では「老後の月平均生活費は25〜30万円」。その差10万円を、どう埋めるのか。
貯金で対応するしかない。月10万円の赤字が30年続くと、360万円の赤字。つまり、65歳時点で最低360万円の貯金が必要。
今、38歳。あと27年で360万円を貯金する。毎月1.1万円程度。それに加えて、退職手当の140万円も活用。
計算上は「何とかなる」かもしれません。でも、その「計算」に不確実性が多い。給料が下がるかもしれない。病気で働けなくなるかもしれない。インフレで生活費が上がるかもしれない。
その不確実性の中での「老後資金計画」は、精神的な負担が大きい。公務員の時は「年金が月20万円」という見通しが立てやすかった。民間企業での「転職による給料変動」「厚生年金の変動」は、予測が難しい。
B: 私は、完全に「老後資金不安」を覚悟しています。44歳で転職。あと21年で貯金する必要があります。
月10万円の赤字 × 12ヶ月 × 21年 = 2520万円。
その金額を貯金するのは、現実的ではありません。つまり、「満足な老後」は難しいかもしれない、と。
だから、退職を決めた時点で「老後資金への諦め」をしました。「今の人生の充実」を優先した。その代償が「老後資金不安」。それは受け入れています。
C: 私は、「貯金ペース」を工夫しています。転職先で確定拠出年金(401k)の制度を活用。毎月3万円を積立。35年間の積立で、1260万円。複利を考えると、1500万円程度になる見込み。
その1500万円+退職手当の個人年金保険+公務員期間の厚生年金+民間企業期間の厚生年金=老後資金。
計算上は「何とかなる」。ただ、その計算は「給料が変わらない」「確定拠出年金が3%の利回りで運用できる」という前提。その前提が崩れれば、計画も崩れます。
---
公務員との年金制度の違い
A: 公務員の「共済年金」の何が手厚いかというと、「加算部分」です。給料の30%程度が「年金保険料」として積立される。民間企業の「厚生年金」は、給料の18%程度。その12%の差が、老後資金に大きく影響します。
つまり、「公務員の安定」は、実は「老後資金の手厚さ」なんです。その手厚さを失ったことに、今さら気づいています。
B: 公務員の「退職手当」も、民間企業にはない制度。民間企業では「退職金」と言っても、実際には「退職直前給」程度。公務員の「退職手当」は、勤続年数に応じた「割増」があります。
その「割増」をもらえなかったことが、今後の「老後資金」に響きます。
C: 公務員時代を「損」と思うことは、今はありません。むしろ、公務員10年の「共済年金加入」が、現在の「年金受給見込み額」を支えています。
民間企業だけなら、5年では年金受給資格さえ得られない。公務員期間があってこそ、「年金受給の道」が開かれています。
---
退職検討中の公務員へのアドバイス
A: 退職手当と年金をシミュレーションして、「老後資金がいくら必要か」を計算してください。その計算の上で、退職を判断してください。
B: 転職先の「厚生年金」「退職金制度」「確定拠出年金」などの制度を、必ず確認してください。同じ給料でも、福利厚生によって「老後資金」が大きく変わります。
C: 「今の充実」と「老後資金」のバランスを、自分の価値観で決めてください。「老後資金を完璧に確保する」なら、公務員が最適。「今の人生を充実させる」なら、転職の価値がある。
その「価値観の選択」が、人生設計の最初のステップです。