# 【座談会】燃え尽きた公務員3人が語る退職までの本音

座談会参加者

  • Xさん(42歳・元県庁 総務課 16年)→ 現在、社会保険労務士
  • Yさん(36歳・元市役所 福祉課 11年)→ 現在、キャリアコンサルタント
  • Zさん(39歳・元市役所 税務課 13年)→ 現在、フリーランス会計士

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「燃え尽きた」ターニングポイント

司会: 皆さんが退職を決めた瞬間は、いつだったんですか?

X: 私は9年目の冬ですね。県の新規採用制度の立案に3年間携わって、ようやく完成を見た。でも、上司から「これを他の自治体にも売り込む営業をしてこい」と言われた時、心が折れました。自分が造ったものへの所有欲とか愛着とか、そういう個人の感情は組織には存在しないんだ、と。

Y: 私は福祉課だったので、市民からの相談が毎日あります。その一つ一つに丁寧に対応してきたつもりだったんですが、ある日、部長から「件数をもっと増やせ」と言われた。量の追求が始まった時ですね。「自分が何をしていたのか分からなくなった」という感覚。

Z: 税務課は年度末に繁忙期があるんですが、私の場合、その繁忙期が6ヶ月に延びていました。定時は17時15分なんですが、毎日20時まで。土曜日も月4回くらい出勤。医者に「このままだと脳卒中になる」と言われた時点で「これはおかしい」と気づきました。

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「耐えるべき期間」は本当にあるのか

司会: 「公務員は安定だから、もう少し耐えるべき」というアドバイスを受けたことはありますか?

X: 親からは「後10年で定年なんだから」と言われました。当時41歳。あと10年、この状況を続けるなんて無理だ、と確信しました。

Y: 夫からも「今やめたら次の仕事が見つからない」と反対されました。でも、今思うと、その懸念は半分幻想だった。公務員11年の経験は、キャリアコンサルタントとして十分な資産になっています。むしろ「もっと早く決断すればよかった」という後悔さえあります。

Z: 同じですね。「安定」の価値って、実際には給与の安定じゃなくて「これからの人生で同じような環境が続く」という予測可能性なんですよ。でも、その予測可能性こそが、自分たちの人生を圧迫していたんです。

X: 「安定」という言葉のマジックですよ。親の世代は、公務員=一生の職場、だった。でも、今の時代、組織の構造改編、給与削減、定員削減がある。本当の意味で「安定」じゃないんです。

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退職手続きの現実

司会: 辞職願の提出から退職までは、どのくらいかかりましたか?

X: 3ヶ月前に口頭で伝えて、1ヶ月前に辞職願を提出しました。提出時には「本当に?」という問い返しがありました。引き継ぎに時間がかかるということで、結局2ヶ月以上かかりました。

Y: 私は1ヶ月前通知。福祉課は利用者対応があるので、後任者と一緒に現場を回りました。ただ、福祉の相談は「個人の信頼関係」に基づいているので、完全な引き継ぎは難しいですね。

Z: 税務課は年度末を避けて6月に退職しました。年度末に辞めると、税務年度の混乱に拍車がかかるので。公務員の辞め時は、季節や業務サイクルで制限されます。

X: 辞職願の書き方も、最初は戸惑いました。「任命権者宛」って誰?知事?市長?本当に分かりづらい。

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退職金と年金の現実

Y: 退職手当の説明を人事課から受けた時、「思ってた額じゃない」とショックを受けました。11年で約150万円。計算式が複雑で、最終給与と勤続年数で決まるんですが、事前に見込み額を出してくれる市役所と出してくれないところがあります。

Z: 年金切り替えが大変でした。共済年金から国民年金への切り替え手続き。その間に空白期間が生じると年金受給額が減るので、タイミングが重要です。転職先が決まっていたので、そこの厚生年金に加入する形で調整しましたが。

X: 健康保険の任意継続も悩みました。共済の任意継続は月3万円超。国民健康保険は月4千円。同じ保障なのに値段が全く違う。共済の中身が手厚いんですね。そこは民間と公務員の大きな差です。

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「今だから言える」後悔と納得

司会: 辞めてから後悔したことはありますか?

Y: 給料が下がったことは正直つらいです。公務員の時は年収520万円。今は450万円。でも、心の平安を考えると、その差は埋め合わせができています。

Z: 私は給料むしろ上がりました。フリーランスで年収600万円。でも、不安定さがあります。案件がなくなったら一気に収入ゼロになる恐怖。それでも、その恐怖の中での生きる実感と、公務員時代の安心の中での絶望とを比較すると、今の方が「生きている」と感じます。

X: 「もっと早く決断すればよかった」というのが、3人共通意見ですね。社会保険労務士として再スタートしましたが、35歳での転職と42歳での転職では全く違う。年齢が上がるほど、転職市場での価値は下がる。

Y: もし若い公務員の人が聞いてたら言いたいのは、「人生で『今が一番若い』というのは今この瞬間だけ」ということです。不幸な状況で5年、10年と過ごすより、早めに決断してキャリアチェンジする方が、人生全体で見ると豊かになる可能性が高い。

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「退職届テンプレート」への期待

Z: 実は退職願の書き方が分からなくて、かなり時間を使いました。宛先、日付、理由の書き方...。公務員向けのテンプレートがあれば、その時間を削減できたと思う。

X: 本当です。任命権者が誰かも、自治体ごとに違うでしょ。市役所なら市長だけど、県庁なら知事。保育園の園長なら誰が任命権者? そういう細かい疑問に答えてくれるテンプレートが必要。

Y: 退職届を作成する段階って、既に気持ちが弱くなってる状態。「こんなことで手間取ってられない」「もういいや、手書きで適当に」という気分になってます。その時に「無料で、正式な書式で、一度で完結する」テンプレートがあると、心強いですよ。