# 年功序列に見切りをつけた|県庁職員10年目で民間転職した理由
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 河野 雅之さん(仮名)
- 年齢: 34歳
- 経験年数: 県庁 技術職 10年
- 勤務先: 県庁
- 転職先: 大手建設コンサルタント
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Q: 公務員の待遇に不満を感じ始めたのはいつですか?
入庁5年目くらいからです。最初の数年は「公務員は安定しているから」と自分に言い聞かせていましたが、大学の同期で民間の建設会社やゼネコンに就職した仲間と年収を比較して、差に愕然としました。
入庁10年目で年収は約500万円。同い年のゼネコン勤務の友人は700万円超え。建設コンサル勤務の友人は650万円。技術士の資格を持つ友人は、それだけで月数万円の資格手当がつくと言っていました。県庁では技術士を取得しても手当はゼロ。自己研鑽へのインセンティブが全くないんです。
Q: 年功序列のどこに問題を感じていましたか?
一番の問題は、「成果と報酬が連動しない」ことです。私は入庁3年目から大型公共事業のプロジェクトマネジメントを任され、億単位の予算を管理していました。技術士の資格も自費で取得しました。でも、給料は隣の席で定型業務だけをこなしている同期と全く同じです。
昇進もスピード感がありません。主任に昇任するのに7年、係長に10年。能力ではなく勤続年数で決まる。優秀な若手が意欲を失っていく姿を何度も見ました。
もう一つは、異動の不透明さです。3年ごとに全く違う分野に異動させられる可能性があります。土木の専門性を磨きたいのに、突然行政管理課に配属されるリスクがある。公務員のジェネラリスト育成方針は理解できますが、技術職には合わないと感じていました。
Q: 公務員の将来性についてはどう考えていましたか?
地方公務員の待遇は、今後さらに厳しくなると予想しています。地方の人口減少で税収は減り続けている。それに伴い、職員定数の削減と給与水準の引き下げが進んでいます。
公共事業の予算も縮小傾向です。新規の大型事業は減り、維持管理が中心になっている。技術職として「新しいものを造る」仕事のやりがいが失われつつありました。
さらに、公共事業のデジタル化(BIM/CIM、3D設計など)が進む中、県庁のIT環境は10年遅れています。最新技術を学びたくても、県庁の中ではその機会がない。このままでは、技術者としての市場価値がどんどん下がると危機感を持ちました。
Q: 転職活動はどのように進めましたか?
まず技術士の資格が武器になりました。建設コンサルタント業界では技術士は必須資格なので、門戸が開けました。技術士を持っていなければ、公務員からの転職はもっと難しかったと思います。
転職エージェントは建設業界に強いところを選びました。公務員の技術職から民間への転職実績がある担当者を指名して、職務経歴書のブラッシュアップを手伝ってもらいました。
公務員の仕事は守秘義務があるため、転職面接で具体的な業務内容を話すのが難しい面がありました。「〇〇事業を担当した」とは言えても、事業費や詳細な内容は伏せなければなりません。その中で自分の実績をアピールする工夫が必要でした。
活動期間は約8ヶ月。4社に応募して、大手建設コンサルから内定をいただきました。
Q: 辞職の手続きと引き継ぎについて教えてください。
12月に課長に辞職の意思を伝え、1月中に人事課を通じて辞職願を提出しました。宛先は知事(任命権者)です。
技術職の辞職で特に注意すべきなのは、担当している工事や事業の引き継ぎです。公共事業には年度をまたぐものが多く、設計・発注・施工・検査の各段階で担当者の継続性が求められます。
私の場合は、3月末時点で施工中の工事が2件あったので、それぞれの進捗状況、施工業者との協議事項、今後の課題を全て文書化しました。後任の技術職員に3日間かけて引き継ぎを行い、現場にも一緒に行って施工業者を紹介しました。
退職手当は勤続10年で約270万円でした。自己都合退職なので支給率は低めですが、10年以上勤務すると支給率の計算が有利になるため、可能であれば10年の区切りまで在籍することをお勧めします。
Q: 転職後の変化と、公務員の方へのアドバイスをお願いします。
年収は約700万円にアップしました。技術士手当が月5万円つくのも大きいです。仕事の内容も、最新の3D設計ソフトを使った業務に携わることができ、技術者としての成長を実感しています。
一方で、成果主義のプレッシャーはあります。プロジェクトの納期に追われることもありますし、受注活動に参加する必要もあります。公務員時代のような「与えられた仕事をこなせばいい」という安心感はありません。でも、その緊張感が自分を成長させてくれていると感じます。
公務員の転職を考えている技術職の方へ。資格を取得してください。技術士、一級建築士、一級土木施工管理技士など、民間で評価される資格があるだけで転職の幅が全く違います。公務員の実務経験は受験資格に認定されるケースが多いので、在職中に取得を目指しましょう。
辞職願はこのサイトのテンプレートで作成できます。公務員の場合、宛先や文言に独自のルールがあるので、テンプレートを活用すると安心です。退職手当の見込み額は人事課で事前に確認できるので、必ず確認してから辞職の判断をしてください。
「公務員は潰しが利かない」と言われますが、それは嘘です。特に技術職は、専門スキルがそのまま民間で通用します。年齢的には35歳までが転職のゴールデンタイムです。悩んでいるなら、まずは転職エージェントに相談することから始めてみてください。