# 20代で公務員を辞めた若者の声|「思っていた仕事と違った」本音の体験談

事例1:「公務員試験の勉強が無駄に感じた」

Pさん(28歳・公務員経験 5年)

大学3年生の時から公務員試験の勉強を始めました。1年間、予備校に通って、3度の受験で県庁に合格。入庁時には「公の仕事をする」という使命感がありました。

ところが、配属されたのは「総務課」。業務内容は「議会資料の作成」「年度ごとの予算案の整理」「職員の勤務管理」。

全部、書類作成。パソコンの前で、延々とExcelを操作する仕事。「こんなはずじゃなかった」というのが、最初の数ヶ月の感覚でした。

公務員試験の勉強では「公共サービス」「社会貢献」という理想を詰め込まれます。でも、現実は、その理想とは全く別の「事務作業」。

5年続けて、「このまま35年続けるのか」と考えた時、辞めることにしました。

今は、IT企業でシステム設計をしています。給料は公務員時代と同等。仕事は、プロジェクトの設計から実装までを経験できる。その「成長感」が、公務員時代にはありませんでした。

退職を後悔していません。ただし、「公務員試験の勉強」の1年間は無駄だったと感じています。別の企業の採用試験を受けていれば、その1年前から働いていたわけです。

---

事例2:「新人研修の理想と現実のギャップ」

Qさん(26歳・公務員経験 3年)

市役所に採用されました。新人研修の時点で、既にギャップを感じていました。

研修では「市民のために」「公務員の使命は」という理想的な話が多い。でも、実務では「市民対応の煩雑さ」が前面に出ます。

窓口業務では、同じ質問を何度も受けます。「税金の計算方法は」「子育て支援の条件は」。その質問に、毎回丁寧に答える。対応時間は30分。1日10件。それが毎日。

その対応の中では「社会貢献」という実感がありません。ただの「情報伝達業務」。

3年続けて、「こんな仕事ならば、民間で同じような対応業務をしている企業でいいのか」と気づきました。

今は、銀行の顧客対応部門で働いています。給料は公務員時代より高い。仕事の内容も「顧客のライフプラン設計」という、より高度な対応。

公務員と民間の大きな違いは「付加価値」。公務員は「決められた仕事を淡々とこなす」。民間は「顧客の課題解決のために、付加価値を生む」。

20代でそれに気づけたのは、幸運だったと思っています。

---

事例3:「同期との差を感じた」

Rさん(30歳・公務員経験 6年)

大学の同期で、一人だけ公務員に。他の友人たちは民間企業に就職。

3年目で同期に会った時、給料の差に驚きました。友人たちは「プロジェクト給」という名目で、ボーナスが30万円を超えている。私は20万円。

給料の差が広がるにつれ、「公務員の安定」という神話が、単なる「成長の機会損失」に見えるようになりました。

また、民間企業の友人たちは「転職」を視野に入れています。「3年目で年収が上がらなかったら転職する」「5年目での転職のための準備をしている」。

そのダイナミズムと比較して、公務員の「年功序列で定期昇給」というシステムの停滞性が、浮き彫りになりました。

6年で転職を決めました。建設コンサルティング企業です。給料は初年度から民間企業レベル。その後、年15%程度の昇給。公務員時代の定期昇給(2%程度)とは異なるダイナミズムです。

---

事例4:「異動による人間関係のリセット」へのうんざり

Sさん(27歳・公務員経験 4年)

市役所で4年勤務。3年目の異動で、全く新しい課に配属されました。

その時点で「もう、人間関係をリセットするのは嫌だ」という気持ちが湧きました。

新しい課での最初の1ヶ月は、全員と話す。「何をしていた課にいましたか」「どのような経験をしていますか」。その自己紹介を何度も繰り返す。

その過程で、「人間関係を作る労力」を感じます。それが好きな人もいるでしょう。でも、私は「一度作った人間関係を、新しい場所でも続けたい」という思いが強かった。

異動のたびに人間関係がリセットされるというのは、「心理的負担」が大きい。その負担に4年で疲れました。

民間企業に転職してから気づいたのは「同じ部門で5年10年働く人もいる」という事実。人間関係が積み重なっていく。その安定感は、公務員時代にはありませんでした。

---

事例5:「やりがいを感じられない」

Tさん(25歳・公務員経験 2年)

採用後、2年でやめました。異例的に短い期間です。

理由は「やりがいを感じられない」の一言。

配属された福祉課では、各種支援制度の書類作成が業務。その書類が、本当に困っている市民に届いているのか、見えませんでした。

市役所の中での「適切な処理」が、市民の「実際の困難の解決」に直結しない。その「空隙」に気づいた時点で、「この仕事を続けたい」という気持ちが無くなりました。

2年で退職。その後、NPOで働いています。NPOでも書類作成はあります。でも、その先に「実際の市民」がいることが見えます。

給料は公務員時代より低い(月4万円)。でも、「仕事の意味」が見える。その「意味」が、給料以上の価値を持っているんです。

---

20代での公務員退職のポイント

これら5人の共通点:

  1. 1 ギャップの実感: 試験勉強での理想と、実務での現実の差
  2. 2 成長の停滞: 同期比較での給料や経験の差
  3. 3 システムの違和感: 異動、年功序列、人事評価への疑問
  4. 4 若さの優位性: 20代なら民間企業の採用市場で十分な競争力がある

---

20代で公務員をやめる際の実務

退職手当: 5年程度の勤務なら、退職手当は約100万円程度。大きな資金。

転職市場: 25〜30歳は「第二新卒」という扱いで、転職市場で高く評価されます。30歳を超えると「既卒」扱いで、評価が下がり始めます。

年金: 国家公務員、地方公務員で異なりますが、共済年金から国民年金への切り替えが必要。その手続きを忘れず。

失業保険: 自己都合退職で3ヶ月の給付制限。その後、月額約15万円が3ヶ月程度。

---

メッセージ

20代で公務員を辞めることは、決して「逃げ」ではありません。むしろ、人生で最も可塑性の高い時期に「自分に合った環境」を選び直すことは、長期的な人生設計では「正解」の可能性が高い。

35歳を超えての転職は、難しくなります。20代なら、やり直しのチャンスが十分あります。