# 「地方公務員を辞めて気づいたこと」退職した元職員5人のリアルな声

インタビュー概要

地方公務員として働き、辞職を決めた5人の元職員に、退職後の生活変化、気づいたこと、そして後悔や満足について率直に語ってもらいました。

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Aさん(38歳・元市役所勤務、福祉課 12年)→ NPO職員

「給料は下がったけど、人間関係のストレスがなくなった」

市役所を12年でやめて、今はNPOで高齢者支援をしています。給料は月5万円下がって、年収で言うと480万円から410万円になりました。でも、辞めてから精神科の薬が要らなくなったんです。

役所では人事異動の度に人間関係が壊れる恐怖がありました。仲良い職員と別の課に異動させられたり、パワハラまがいの上司が来たり。異動は3年周期なので、やっと人間関係が構築されたと思ったら移動させられる。その繰り返しに疲弊していました。

NPOはスタッフが少ないので、人間関係が固定的で、信頼構築ができる。仕事の内容も「この高齢者さんが元気になった」という直接的なフィードバックがあって、やりがいがある。給料は下がったけど、心の豊かさは間違いなく増えました。

ただし、福利厚生は大きく変わります。有給休暇は年20日から年10日に。企業年金もなくなって、退職金の制度もない。35年後の自分の人生を考えると不安は多いです。それでも、「今この瞬間を大切にしたい」という気持ちが勝りました。

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Bさん(32歳・元町役場勤務、総務課 8年)→ フリーランス編集者

「公務員の時間感覚は、一般社会とズレている」

町役場で8年働いて、フリーランスになりました。最初の気付きは、スピード感の違いです。

役場では決定に時間がかかります。「部長に報告して、課長補佐の承認を得て、課長の判断を仰いで」。単純な業務変更で2週間かかることもあります。一般社会では、その間に何件の案件が完了してるんです。

フリーランスでは「依頼をもらったら3日で納品」が当たり前。その時間感覚に最初は戸惑いましたが、今はこちらの方が自分に合っていると感じます。

給料は不安定です。月20万円の月もあれば、月50万円の月もある。年収でならすと、公務員時代の460万円よりは多いですが、保険や年金は全部自分で払う。そのリスクが許容できるか否かが、公務員を続けるか辞めるかの判断基準だと思います。

正直なところ、「公務員の安定」がどれほど価値か、辞めるまで分かりませんでした。辞めた今、その価値は理解しています。でも、同時に、その安定の代わりに失われていた自由と成長があったことも分かりました。

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Cさん(41歳・元県庁勤務、企画課 15年)→ シンクタンク職員

「組織の中での自分の役割が、完全に定義されていた」

県庁を15年でやめました。理由は「自分の成長が止まった」と感じたから。同期との昇進スピードはほぼ同じなので、競争意識が生まれません。部長になるまでのキャリアパスも見えている。

県庁では、あなたの役割は既に決まっているんです。「あなたは企画職だから」「あなたはこの分野の担当だから」。その枠を出ることは許されません。異動で新しい分野に行っても、3年で異動させられるので、深い専門性を磨く機会がない。

シンクタンクに転職して、初めて「自分が選べる」状況を経験しました。どのプロジェクトに参加するか、どの分野を深掘りするか、自分である程度決められる。その自由度が、仕事のやりがいを大きく変えました。

年収は450万円から580万円にアップしました。成果主義なので、自分の頑張りが直接給料に反映される。県庁時代は「頑張ろうが頑張るまいが給料は同じ」という無力感がありましたが、それがなくなりました。

ただし、45歳超えると転職は難しくなります。今の職場も「年齢で評価される」傾向が出始めました。公務員の方へのアドバイスは、「やりがいを感じられなくなったら早めに決断すること」です。年齢が若いほど、転職市場での価値は高い。

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Dさん(29歳・元市役所勤務、保育園保護者対応 6年)→ 育児サロン運営

「親になってから、『公務員は本当に融通が効かない』と実感した」

6年で辞めました。理由は、娘が生まれたから。子どもが保育園に入園後、急な発熱やトラブルが多くなります。その時に、市役所は「休暇は与えられるが、雰囲気は『なぜ休むのか』という空気」でした。

男性職員で育児を理由に休暇を取る人は、私が初めてだったんです。それだけで「あいつは仕事に本気じゃない」というレッテルが貼られました。昇進時の評価にも響くと言われました。

妻も元公務員(教員)で同じストレスを抱えていたので、「共働きで子どもを育てるなら、どちらかは別の働き方をするしかない」という結論に至りました。私がフリーランスになり、妻が正社員を続ける形にしました。

今は育児サロンを運営しています。年収は390万円で公務員時代より低いですが、「子どもが病気の時に優先できる」という選択肢を得られた価値は大きいです。

公務員の制度上は「育児休暇」「育児短時間勤務」が認められていますが、実際には雰囲気が許さない。それは制度の問題というより、組織文化の問題です。その文化を変えるなら相当な時間がかかるでしょう。

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Eさん(35歳・元警察職員 13年)→ 警察OB向けキャリア支援

「公務員を辞める人は『失敗』ではなく『選択肢を選んだ』と理解してほしい」

警察官を13年でやめました。採用時の同期約50人の中で、辞めたのは私を含めて6人。離職率で言うと12%です。警察は組織が厳格で、辞める決断にはかなりの葛藤があります。

辞めた理由は、昇任試験で落ちたこと。1回目、2回目と落ちて、「このまま続けても昇任は難しい」と判断しました。組織では昇任が一つの大きな目標になります。それが叶わないと、日々の業務が義務になってくる。

警察を辞める際の手続きは、通常の公務員より複雑です。身分が公安職で、退職金の計算も異なります。また、配置情報が警察本部に記録されるので、退職後に民間企業に転職する際に「警察出身」というレッテルが思わぬ影響を及ぼします。

今は警察OBのキャリア支援をしている会社で働いています。同期が何人も辞めていて、その理由は「昇任に失敗」「組織の人間関係」「心身の疲弊」など様々です。

公務員を辞める人の多くは、自分を「失敗した」と思う傾向があります。でも、公務員は多くの人にとって「天職」ではないんです。適性がない人もいれば、人生のステージが変わって必要性が変わる人もいる。辞める決断は、「自分に合った選択肢を選んだ」ということです。

その理解がもっと広がれば、辞めた後の人生も、もっと前向きにスタートできると思います。

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共通して聞かれた「退職届の書き方について」

5人全員が「退職届(辞職願)の書き方に戸惑った」と述べています。

「理由は『一身上の都合』で問題ない」「宛先は市長や知事などの任命権者」「日付は提出日ではなく『退職予定日』を記載すべきか『提出日』か判断に迷った」

このサイトのテンプレートを使えば、これらの判断が一度で済みます。