# 女性公務員が退職を決めた理由|育児・キャリア・人間関係のリアル

女性公務員の退職事情

女性公務員の離職率は男性よりも高いという統計があります。なぜなのか、実際に退職した女性公務員4人に、本音で語ってもらいました。

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事例1:育児と職場の「空気」の衝突

Tさん(36歳・元市役所 10年勤務 → 育児サポート事業主)

市役所で10年勤務しました。結婚、出産、育児休暇を経て、復帰したのが子どもが1歳の時です。

復帰直後から、周囲の態度が変わったんです。会議の時間が「16時に終わる」という配慮?いや、嫌味です。「16時に帰る人のために会議を早く終わらせるの?」という無言の圧力。

女性で育児休暇から復帰した人は、私が初めてだったんです。前例がない環境。男性職員は育児休暇をほぼ取っていない。女性職員は出産を機に大多数が退職していた。

その中での「復帰」は、試験台に乗せられるような感覚でした。「女性が仕事を続けられるか」という「実験」の対象。

子どもの発熱で休暇を取ると、翌日に「子どもは大丈夫でしたか」と何度も何度も聞かれます。共感ではなく、「また来たのか」という失望。

育児短時間勤務の制度はあります。勤務時間を7.5時間から6時間に短縮できます。でも、給料は時間比例で減らされます。同じ仕事をしても、給料は短くなる。

昇進試験の受験資格も変わります。「短時間勤務者は昇進試験の受験は可能ですが、合格後の配置に制限がある」という暗黙の了解。

3年続けました。でも、子どもの成長に伴い、学童保育の時間制限や、学校の行事対応が増える。同時に、市役所での仕事の量も増える一方です。

「両立」という言葉は、実は「何かを諦める」という意味だと気づきました。子どもの時間?仕事のクオリティ?自分の人生?何かを必ず失っています。

その三つを同時に失いたくないなら、退職が正解でした。

今、育児サポート事業を立ち上げました。公務員時代より収入は半分程度。でも、時間的な自由度は何倍もあります。子どもとの時間を優先できる。仕事の質も「急いで終わらせる」から「丁寧にやる」に変わりました。

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事例2:「女性だから」の配置と専門性の阻害

Uさん(40歳・元県庁 15年勤務 → 法人コンサルタント)

県庁で15年勤務しました。法務部門での配置希望でしたが、「女性は対市民対応(福祉、教育、保健)に適している」という暗黙の配置方針がありました。

説教的ですが、実際にそうです。法務部門で活躍している女性職員は、全職員の5%程度。明らかに男性と異なる配置方針が存在していました。

昇進試験の合格者も見てください。同期の女性で昇進試験に合格した人は、全体の1/3。男性では2/3。成績が同じでも、昇進の道が限定されている。

その理由は、「配置の制限」です。女性が少ない職域(例:土木技術職、警察職)への配置が少ないため、昇進の前提となる「複数部門での勤務経験」を積む機会が限定されます。

つまり、「女性だから昇進できない」のではなく、「女性に配置される部門が限定されているから、昇進のためのキャリアパスが限定される」という構造的問題があるんです。

15年勤務しても、部長職になれる見込みは限定的。その時点で、「専門性を磨く道」か「昇進を諦める」かの選択を強いられます。

私は専門性を選びました。退職後、法人コンサルタントとして独立。県庁での行政経験が、そのままコンサル業務に活きています。

年収は県庁時代の1.5倍。自分の専門性が適切に評価される環境を求めました。

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事例3:「結婚を理由とした異動」への違和感

Vさん(33歳・元市役所 9年勤務 → 企業のCSR部門)

市役所で9年勤務していた時、結婚しました。すると、人事課から「異動願はありますか?」と聞かれました。

男性職員に同じ質問をされることはありません。女性職員にだけ、結婚と同時に「異動意思の確認」が行われます。

背景にあるのは、「結婚すると、夫の転勤に伴い市外に転出するかもしれない」という想定です。つまり、「いずれ辞めるから、配置を後回しにしよう」という論理です。

実際には、私の夫は地元企業勤務で、転勤の見込みはありませんでした。でも、その確認もなく「女性だから転出するだろう」という推測で扱われました。

その後も、昇進試験の受験資格や、配置での優先度が明らかに低下しました。

「いずれ辞めるだろう女性に、重要な仕事や責任ある配置をしても無駄」という組織文化。

実際には、市役所での仕事にやりがいを感じていたので、退職は考えていませんでした。でも、その「女性だから」という理由での期待値の低さに、モチベーションを削がれました。

9年で退職し、企業のCSR部門に転職しました。そこでは「結婚している女性」であることが、むしろ強みになります。結婚、育児、家庭の知見が、社会貢献事業の企画に活きるからです。

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事例4:「女性同士の人間関係」トラブル

Wさん(35歳・元市役所 8年勤務 → フリーランス翻訳者)

市役所の女性職員は、全職員の約40%です。でも、管理職(課長以上)での女性比率は10%程度。つまり、女性職員の大多数は「ずっと部下」という状態です。

女性同士の人間関係が、男性以上に険悪になることがあります。

「女性管理職が少ない」→「女性部下が直属の上司に期待する」→「女性上司が女性部下を厳しく指導する」。

その「厳しさ」が、時に過度になります。女性上司たちは「男性社会で生き残るために厳しくならざるを得なかった」という背景があります。その「厳しさ」を次の世代にも求めます。

私の直属の上司は女性課長でした。仕事のクオリティへの要求は高い。でも、フィードバックは厳しく、褒めることはほぼありません。

「あなたは平凡だ」「この程度で満足するな」という評価が毎日。同期の男性が同じミスをすると「誰にでもあるよ」とスルーされるのに、私がミスると「あなたは注意力がない」と叱責される。

その理由は、「女性だから」。「女性は男性の2倍の能力を求められる」という市役所内での暗黙の了解があるんです。

8年でその環境から逃げたいという気持ちで退職。今、フリーランスの翻訳者をしています。

女性ばかりの職場、男性ばかりの職場、と比較されることもありません。自分のペースで、自分の能力範囲で仕事ができる。それが何より心地よいです。

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女性公務員の「退職選択」

これら4人の事例から見えるのは、女性公務員が直面する構造的な課題です:

  1. 1 育児と職場の不両立
  2. 2 配置での性別による制限
  3. 3 昇進機会の不平等
  4. 4 女性同士の厳しい人間関係

これらは、個人の頑張りでは解決できません。組織文化の問題です。

公務員という身分は「安定」を提供しますが、女性にとってその安定は、「制限された人生」と引き替えなのか。

4人とも、退職後の人生に満足しています。給与は下がった人もいますが、「心の自由度」は間違いなく上がっています。

女性公務員の方へ。「我慢が美徳」という昭和の価値観を手放してください。あなたの人生は、あなたのもの。職場の期待値や組織の論理に合わせることだけが、唯一の道ではありません。

退職届のテンプレートは、このサイトで無料提供されています。