インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 山本 彩花さん(仮名)
- 年齢: 27歳
- 経験年数: アパレル販売員歴5年
- 勤務先: 国内レディースブランド(商業施設内のテナント店舗)
- 現在: 化粧品メーカーの美容部員として勤務
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Q: パワハラが始まったきっかけを教えてください。
入社3年目に新しい店長が赴任してきたのがきっかけです。その店長は数字に非常に厳しい人で、個人売上のノルマを大幅に引き上げました。それだけなら理解できるのですが、ノルマを達成できないと全員の前で「やる気がないなら辞めろ」「お前がいると店の足を引っ張る」と怒鳴るんです。
Q: 個人売上のノルマはどの程度でしたか?
以前の店長時代は月間個人売上80万円が目安でしたが、新店長になってから120万円に引き上げられました。しかも、客単価が下がるセール期間中も同じノルマが求められました。達成できないと、閉店後に「反省会」と称して1時間以上説教されます。残業代は出ません。
Q: 他のスタッフも同じ状況でしたか?
同じ状況でした。5人のスタッフのうち、3人が1年以内に退職しました。残ったのは私ともう1人だけ。人手不足で新人が入ってきても、店長の態度を見てすぐに辞めてしまう悪循環でした。
Q: 誰かに相談しましたか?
エリアマネージャーに電話で相談しましたが、「店長のやり方には口を出せない」「売上が上がっているなら問題ない」と取り合ってもらえませんでした。本社のハラスメント窓口にも連絡しましたが、「調査する」と言われたきり、何か月経っても返答がありませんでした。結局、組織として問題を解決する気がないのだと悟りました。
Q: 退職を決断したきっかけは何ですか?
ある日、閉店後の反省会で「お前の接客は下手だから、自分で服を買ってノルマを埋めろ」と言われたんです。実際に、自腹で商品を購入して売上を作っているスタッフもいました。「これは完全におかしい」と思い、その夜に退職届を書きました。
Q: 退職届はどのように出しましたか?
店長に直接渡すのは精神的に無理だったので、本社の人事部に郵送しました。同時に、店長にはメールで退職の意思を伝えました。店長からは「今辞められると困る」「せめて来月のセールが終わるまで」と言われましたが、「体調面の理由で退職日は変更できません」と伝えました。退職届を出してから2週間後に退職しました。
Q: 退職後の転職活動はどうでしたか?
アパレル業界には残りたくなかったので、接客スキルを活かせる別の業界を探しました。化粧品メーカーの美容部員の求人に応募したところ、「アパレルでの接客経験」「お客様の悩みに寄り添う提案力」が評価されて採用されました。面接では前職の退職理由を「新しい分野で接客スキルを活かしたい」とポジティブに伝えました。
Q: 転職後の待遇や職場環境はどう変わりましたか?
年収は約260万円から約320万円に上がりました。化粧品メーカーはアパレルよりも福利厚生が充実していて、社員割引で商品を買えるのは同じですが、「自腹購入を強要される」ことは一切ありません。ノルマはありますが、チームで達成する文化なので、個人を責められることもありません。定時で帰れる日が増え、プライベートの時間も確保できるようになりました。
Q: 同じ状況にいるアパレル販売員にアドバイスをお願いします。
ノルマ圧力で自腹購入を強いるのは違法行為です。我慢する必要はありません。証拠(LINEのやり取り、反省会の内容のメモ、自腹購入のレシート)を残しておくことが重要です。社内の窓口が機能しない場合は、労基署に相談してください。アパレルの接客スキルは、化粧品、ジュエリー、ホテル、ブライダルなど、多くの業界で評価されます。「アパレルしかできない」と思い込まず、視野を広げて転職活動をしてみてください。