インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 河野 真奈さん(仮名)
  • 年齢: 31歳
  • 経験年数: アパレル販売員歴9年
  • 勤務先: カジュアルブランド(全国チェーン)の副店長
  • 現在: Web制作会社のディレクターとして勤務

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Q: 9年間のアパレルキャリアで感じていた不安は何ですか?

一番はアパレル業界全体の縮小です。ファストファッションの台頭、EC(ネット通販)の普及、消費者の「服離れ」。自分が働いていたブランドでも、年々売上が落ちて、不採算店舗の閉店が相次いでいました。「いつ自分の店舗も閉店するかわからない」という不安は常にありました。

Q: 給与面での不満はありましたか?

9年目の副店長で年収は約290万円でした。入社時から40万円ほどしか上がっていません。ボーナスは年2回で合計1.5か月分。昇給は年に2,000〜3,000円程度。同年代の友人で一般企業に勤めている人は年収400万円以上が当たり前で、明らかな格差を感じていました。

Q: アパレル業界内での転職は考えなかったのですか?

考えました。外資系ラグジュアリーブランドに転職すれば年収アップの可能性はあります。しかし、業界全体が縮小傾向にある中で、「同じ業界にいても根本的な解決にはならない」と思いました。30歳を過ぎて、「この先20年、アパレルで食べていけるのか」を真剣に考えた結果、業界を変える決断をしました。

Q: なぜIT業界を選んだのですか?

アパレルとITは一見関係なさそうですが、実は接点があります。近年、アパレル業界ではECサイトの重要性が増していて、私もSNSでの情報発信やブランドのオンラインマーケティングに関わっていました。その経験を活かして、Web制作やデジタルマーケティングの分野に進みたいと思いました。退職前にオンラインスクールでWebデザインとマーケティングの基礎を学びました。

Q: 異業種への転職活動はどうでしたか?

正直、苦戦しました。「アパレル販売員9年」という経歴だけでは、IT企業の書類選考で落とされることが多かったです。しかし、オンラインスクールで制作した作品ポートフォリオと、アパレル時代のSNSマーケティングの実績をまとめた資料が突破口になりました。面接では「アパレルの現場感覚を持ったWeb制作者は貴重」と評価してくれた会社に出会い、ディレクター職として採用されました。

Q: 退職届はどのように出しましたか?

店長に退職の意思を伝え、退職届を代表取締役宛に提出しました。店長からは「副店長が抜けると困る」と言われましたが、2か月の猶予を設けることで了承してもらいました。退職届の退職理由は「一身上の都合」です。異業種への転職であることは口頭で伝えましたが、特に問題にはなりませんでした。

Q: 引き継ぎで苦労した点は?

副店長として担当していた業務(売上管理、スタッフ教育、本社への報告)の引き継ぎに時間がかかりました。特に、私が独自に行っていたSNS投稿のルール(ハッシュタグの選定基準、投稿の曜日・時間帯、写真の撮り方)を言語化するのが大変でした。マニュアルを作成して後任に渡し、1週間ほど一緒にSNS投稿の実務を行いながら引き継ぎました。

Q: 転職後の年収や待遇はどう変わりましたか?

年収は約290万円から約400万円に上がりました。リモートワークが週3日可能で、土日祝日が休み。アパレル時代は「セールの日は絶対出勤」「年末年始も営業」でしたが、今はカレンダー通りに休めます。何より、成長産業であるIT業界にいることで、「将来の仕事がなくなるかもしれない」という不安がなくなりました。

Q: アパレルからの異業種転職を考えている方にアドバイスをお願いします。

「アパレルしかやったことがないから転職は無理」と思い込んでいる方が多いですが、そんなことはありません。アパレルで培った接客力、提案力、トレンド感覚、SNS運用スキルは、異業種でも十分に評価されます。ただし、30歳を過ぎると異業種転職のハードルは上がるので、できるだけ早く動くことをおすすめします。転職前にオンラインスクール等で新しいスキルを身につけておくと、選択肢が大幅に広がります。退職届は繁忙期を避けて提出し、十分な引き継ぎ期間を確保することが円満退職のコツです。