「この患者さんのリハビリを最後まで見届けたい」「自分が辞めたら患者さんが困る」――担当患者への愛着から退職を迷う理学療法士は少なくありません。この感情との向き合い方と、適切な引き継ぎの方法を解説します。

担当患者への罪悪感の正体

患者への愛着は理学療法士としての誠実さの表れです。しかし、以下の視点も大切です。

  • リハビリは個人の力ではなく、チームで提供するもの
  • あなたが辞めても、別の理学療法士が引き継ぐ
  • 自分の健康やキャリアを犠牲にする必要はない
  • 患者もあなたの幸せを望んでいるはず

適切な引き継ぎの進め方

引き継ぎ資料の作成

担当患者ごとに以下の情報をまとめましょう。

  • 現在の身体機能評価(ROM、MMT、ADL等)
  • リハビリプログラムの内容と進捗
  • 患者の性格・コミュニケーションの特徴
  • 家族の状況と協力体制
  • 注意事項(禁忌動作、既往歴、アレルギー等)
  • 退院目標と現在の到達度

引き継ぎ期間

理想的には1ヶ月以上の引き継ぎ期間を確保しましょう。

  1. 1 退職2〜3週間前: 後任PTと一緒に患者のリハビリに入る
  2. 2 退職1週間前: 後任PTが主導でリハビリを実施、自分はサポート
  3. 3 最終日: 患者に退職の挨拶

患者への伝え方

退職を患者に伝える時期と方法は、科長と相談して決めましょう。

  • 退職の1〜2週間前に伝えるのが一般的
  • 「後任の○○先生が引き継ぎます」と具体的に伝える
  • 「リハビリの方針は変わりません」と安心させる

退職届の書き方

退職届には「一身上の都合」と記載します。患者への思いを退職届に書く必要はありません。

「辞めるなら今の患者が退院するまで待て」と言われた場合

上司から引き止めとして言われるケースがありますが、法的には退職日を延期する義務はありません。ただし円満退社のためには、引き継ぎ期間を十分に設けることで誠意を示しましょう。

失業保険について

自己都合退職の場合、給付制限期間は1ヶ月です。

まとめ

担当患者への愛着は理学療法士として素晴らしい資質ですが、自分の人生を犠牲にする理由にはなりません。丁寧な引き継ぎを行うことが、患者への最大の責任です。