• 名前:山田 裕子(仮名)
  • 年齢:33歳
  • 経験年数:9年(うち産休・育休1年半)
  • 勤務先:回復期リハビリテーション病院
  • 家族構成:夫、子ども2人(4歳・1歳)

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Q: 退職を考えた理由を教えてください。

2人目の育休から復帰して半年が経った頃です。時短勤務で9時〜16時の契約でしたが、実際にはカンファレンスや記録が終わらず17時過ぎまで残ることが常態化していました。

保育園のお迎えは18時がリミット。夫も仕事で遅いので、私が迎えに行くしかない。16時に上がれれば間に合うのに、16時になると「あと1人だけお願い」と追加の患者さんが入る。断れる雰囲気ではないんです。

回復期は土曜出勤もあるので、月に2回は土曜も出勤。その日は夫に子どもを見てもらいますが、夫も疲れているので険悪になることも。

Q: 時短勤務ではカバーできなかったのですか?

制度上は時短勤務が認められていましたが、現場の実態とは乖離していました。回復期病院はリハビリの単位数が施設基準に直結するので、常勤PTが1人時短になると他のスタッフの負担が増えます。

先輩から直接言われたわけではありませんが、「時短の人のフォローで自分たちの残業が増えている」という空気は感じていました。それが精神的にきつかった。

また、勉強会は業務後の18時から開催されるため、時短勤務だと参加できない。「キャリアアップしたいのに機会がない」というジレンマもありました。

Q: 退職の決断と上司への伝え方は?

1歳の下の子が急な発熱で保育園から呼び出しが入った日、午後の患者さん3人分のリハビリをキャンセルしなければならなくなりました。科長に「また?」という顔をされたとき、「もう無理だ」と思いました。

科長には「子どもが小さいうちは常勤での勤務が難しいので、退職させてください」と率直に伝えました。科長は「パートへの切り替えはどうか」と提案してくれましたが、同じ職場でパートになると結局頼まれて残業する未来が見えたので、お断りしました。

退職届は院長宛てに「一身上の都合により」で提出。退職日は年度末の3月31日に設定し、12月に届を出したので約3ヶ月の猶予がありました。

Q: 退職後の生活はどうですか?

退職後2ヶ月間は完全に育児に専念しました。上の子の幼稚園の送り迎え、下の子との公園遊び、家事。「こんなに時間に余裕があるんだ」と驚きました。

その後、自宅から車で10分のデイサービスでパートPTとして週3日勤務を始めました。9時〜15時で残業なし。単位数のプレッシャーもなく、利用者さんとゆっくり関われます。収入は常勤時代の半分以下になりましたが、夫の収入と合わせれば生活は成り立ちます。

Q: 退職時に工夫したことはありますか?

引き継ぎ資料は、担当患者ごとにA4用紙1枚にまとめました。疾患名、現在のリハビリ目標、ADL状況、家族の要望、注意点。これを後任のPTに渡して、一緒にリハビリに入る期間を1週間設けました。

有給休暇が15日残っていたので、最終月は半分くらい有給消化に充てました。この期間に子どもの予防接種や自分の歯科検診など、在職中にできなかったことを片付けました。

Q: ワークライフバランスに悩む理学療法士へのメッセージをお願いします。

「常勤で働き続けなければ」という固定観念を捨ててほしいです。PTの資格があれば、パート・訪問・デイサービスなど働き方の選択肢はたくさんあります。

子どもが小さい時期は本当に一瞬。私は退職して正解でした。子どもが小学校に入ったら常勤に戻ることも考えていますが、今は家族との時間を優先できる環境に満足しています。

退職届を出すなら年度末がベスト。年度途中の退職は人員配置に影響するので、できるだけ早めに意思を伝えて、円満に退職することをおすすめします。