• 名前:田中 慎一(仮名)
  • 年齢:31歳
  • 経験年数:7年
  • 勤務先:回復期リハビリテーション病院
  • 転職先:訪問看護ステーション(リハビリ部門)

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Q: 退職を考え始めたきっかけを教えてください。

きっかけは、同期のPTが訪問リハビリに転職して年収が100万近く上がったという話を聞いたことです。自分は回復期で7年やってきて、脳血管の患者さんを中心に経験を積んできましたが、正直なところ昇給は年に数千円程度。主任への昇格も「まだ早い」と言われ続けて、このまま10年、15年と働いてもキャリアの天井が見えていました。

訪問リハビリには以前から興味がありましたし、回復期で培った脳卒中のリハビリスキルは訪問でも十分活かせると思いました。

Q: 転職活動はどのように進めましたか?

PTに特化した転職エージェントを2社使いました。在職中の転職活動なので、面接は有給を使って対応。回復期は比較的シフトが組みやすいので、前もって有給申請をしておけば問題ありませんでした。

1社目のエージェントから紹介された訪問看護ステーションが条件にぴったりで、見学を経て内定をもらいました。年収は前職の380万から460万へ、約80万のアップです。インセンティブ制度もあるので、頑張ればさらに上がる見込みです。

Q: 上司にはどのように退職を伝えましたか?

まずリハ科長に「ご相談したいことがあります」と面談の時間をもらいました。12月中旬のことです。3月末退職を希望していたので、約3ヶ月半前ですね。

科長は驚いた様子でしたが、「訪問でやりたいことがあるなら応援する」と言ってくれました。ただ、院長への報告は科長が行うので、少し待ってほしいと。1週間後に正式に退職届を提出しました。

退職届は「一身上の都合により」というシンプルな文面にしました。宛名は院長名です。

Q: 患者さんの引き継ぎはどうしましたか?

これが一番大変でした。担当患者が常時18名ほどいて、それぞれの治療計画、ADL状況、リスク管理のポイントをまとめた引き継ぎ資料を作成しました。

特に長期で担当していた脳卒中の患者さんは、歩行訓練の段階や装具の調整状況など、細かい情報が多い。引き継ぎ先のPTと一緒にリハビリを行う期間を2週間設けて、実際に患者さんの前で申し送りをしました。

患者さんには最終週に直接お伝えしました。「先生がいなくなると困る」と言われて申し訳ない気持ちもありましたが、後任のPTを紹介して安心していただけたと思います。

Q: 退職時に気をつけたことはありますか?

単位数の管理です。退職月も施設基準を満たす必要があるので、自分が抜けた後の単位数が基準を割らないよう、科長と事前に調整しました。また、カンファレンス資料や評価データはすべて電子カルテに残し、紙で持っていた自分用のメモも整理して引き継ぎファイルに入れました。

あと、PT協会の所属施設変更届も忘れずに。転職先が決まってから変更届を出しました。

Q: これから退職を考えている理学療法士へのアドバイスをお願いします。

回復期で経験を積んだスキルは、訪問でも介護施設でもどこでも通用します。「辞めたら迷惑がかかる」と思いがちですが、自分がいなくなっても組織は回ります。ただ、引き継ぎだけはしっかりやること。患者さんに迷惑をかけないのがプロとしての最低限のマナーです。

退職届は3ヶ月前には出せるよう、転職活動は半年前から始めるのがおすすめです。在職中に内定をもらってから退職を伝えるのが精神的にも安心ですよ。