• 名前:中村 健太(仮名)
  • 年齢:28歳
  • 経験年数:5年
  • 勤務先:病院
  • 転職先:医療機器メーカー(営業職)

---

Q: 退職を考え始めた理由を教えてください。

一言で言えば「お金」です。5年目で年収350万。手取りにすると月22万くらい。一人暮らしで家賃を払うとほとんど残りません。

同じ大学を出た友人が、IT企業で年収500万を超えているのを聞くと、正直つらかった。養成校で4年間学んで国家資格を取って、この待遇か、と。

Q: 昇給の見込みはなかったのですか?

うちの病院の昇給は年3,000〜5,000円程度。10年勤めても年収400万に届くかどうか。主任になっても手当は月1万円。科長クラスでようやく年収450万。40代の先輩を見て「あれが自分の未来か」と思うと、将来に希望が持てませんでした。

PTの供給過多も不安材料でした。毎年1万人以上の新卒PTが輩出される中、診療報酬の改定で単価は下がり続けている。10年後、20年後にこの業界がどうなっているのか、真剣に考えるようになりました。

Q: 転職先はどのように決めましたか?

PTの経験を活かせる一般企業を探しました。医療機器メーカー、保険会社、介護テック系のスタートアップなど。最終的に医療機器メーカーの営業職に決めました。

リハビリ機器の営業なので、PTとしての知識がそのまま武器になります。病院やクリニックに出向いて、PTやOTに製品を提案する仕事。現場の気持ちがわかるので、信頼を得やすいと面接でアピールしました。

年収は1年目で420万。インセンティブ込みで500万も狙えるとのこと。PTの5年間で350万だったことを考えると大幅なアップです。

Q: 退職届の提出と退職の流れを教えてください。

内定をもらってから退職届を出しました。院長宛て、理由は「一身上の都合により」。提出は退職希望日の2ヶ月前です。

科長との面談では「給与が理由なら交渉する」と言われましたが、数万円上がったところで根本的な解決にはならないと考え、辞退しました。科長自身も「PTの待遇は確かに厳しいよな」と理解を示してくれました。

引き継ぎは1ヶ月かけて行いました。療養型なので患者さんの入れ替わりが少なく、長期担当の方が多い。一人ひとりの維持期リハビリの内容、ADLの変動パターン、ご家族の要望などを詳細に記録しました。

Q: 転職後の生活はいかがですか?

正直に言うと、営業は大変です。ノルマもあるし、出張も多い。でも「頑張った分だけ収入に反映される」という実感は、PTの時代にはなかったものです。

PTの資格は維持しています。協会費は払い続けていますし、いつかPTに戻る可能性もゼロではない。ただ、今は営業の仕事にやりがいを感じています。

Q: 待遇面で悩んでいる理学療法士に一言お願いします。

「PTの仕事は好きだけど生活が苦しい」という人は、視野を広げてほしい。PT資格を活かせるフィールドは病院や施設だけじゃありません。医療機器メーカー、保険会社、ヘルスケアIT、行政など、選択肢は意外と多いです。

退職届を出すのは勇気がいりますが、現状維持が最大のリスクになることもある。転職活動は在職中に始めて、内定をもらってから退職届を出す。これが一番安全なルートです。