インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 中村 さやかさん(仮名)
  • 年齢: 32歳
  • 経験年数: 医療事務歴5年(育休1年含む)
  • 勤務先: 整形外科クリニック
  • 現在: 退職後、在宅でレセプト点検の業務委託を受注

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Q: 出産前の働き方を教えてください。

整形外科クリニックで医療事務として4年間フルタイムで働いていました。受付・会計・レセプト請求が主な業務です。整形外科はリハビリの患者さんが多いので、1日の患者数が80〜100名と多く、忙しい職場でした。残業は月20時間程度で、レセプト期間中はもう少し増えることもありました。

Q: 育休後の職場復帰はスムーズでしたか?

1年間の育休を取得して復帰しましたが、復帰初日から大変でした。育休中に診療報酬の改定があり、算定ルールが変わっていたんです。子どもを保育園に預けて、時短勤務(9時〜16時)で復帰しましたが、業務量はフルタイムの時とほぼ変わらず、時短分の給与はカットされるという状況でした。

Q: 育児との両立で一番大変だったことは?

保育園からの急な呼び出しです。子どもが熱を出すと保育園から電話が来て、すぐに迎えに行かなければなりません。受付の途中で抜けると他のスタッフに負担がかかるので、毎回申し訳ない気持ちでいっぱいでした。特にレセプト期間中に子どもが体調を崩した時は、夜中に自宅でレセプトの確認作業をしていました。

Q: 時短勤務の制度は使えましたか?

制度としてはありましたが、実際には機能していませんでした。16時に帰ろうとしても「このレセプトだけお願い」「この患者さんの対応だけ」と頼まれ、結局17時過ぎまで残ることが多かったです。院長に相談しても「他のスタッフも忙しいから」と言われるだけでした。

Q: 退職を決断した理由は何でしたか?

決定的だったのは、子どもの保育園の行事に一度も参加できなかったことです。運動会も発表会も、平日開催だと休めなかったんです。ある日、保育園の先生から「お母さん、最近お子さんが朝泣くことが増えています」と言われて、自分の働き方が子どもに影響していると気づきました。夫と話し合い、「今は子どもとの時間を優先しよう」と決めました。

Q: 退職届はどのように出しましたか?

院長に退職の意思を伝えた上で、退職届を提出しました。退職理由は「育児に専念するため」と口頭で伝えました。退職届には「一身上の都合により」と記載しました。院長からは「時短を続けながら働けないか」と引き留められましたが、時短勤務が形だけのものだったことを考えると、残っても状況は変わらないと判断しました。退職日は2か月後に設定し、十分な引き継ぎ期間を確保しました。

Q: 退職後の収入面はどうしていますか?

退職後3か月間は貯蓄で生活しました。その後、医療事務の経験を活かして、在宅でレセプト点検の業務委託を始めました。クラウドソーシングサイトで案件を見つけ、月に5〜8万円の収入を得ています。フルタイムの時と比べると大幅に減りましたが、子どもとの時間が確保できるようになり、精神的にはずっと楽になりました。

Q: 育児と仕事の両立に悩んでいる医療事務の方にアドバイスをお願いします。

医療事務は女性が多い職場ですが、意外と育児との両立支援が整っていないクリニックが多いです。時短勤務の制度があっても、実際に使えるかどうかは職場次第です。退職を考える前に、まずは院長や上司に具体的な要望(「16時以降の残業は不可」「子どもの急な体調不良で休む可能性がある」等)を明確に伝えてみてください。それでも改善されない場合は、在宅でのレセプト点検やオンライン診療のサポートなど、医療事務のスキルを活かした柔軟な働き方を検討するのも良いと思います。