インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 高橋 由美さん(仮名)
- 年齢: 33歳
- 経験年数: 医療事務歴8年
- 勤務先: 総合病院の医事課
- 現在: 退職後6か月の療養を経て、クリニックでパート勤務中
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Q: 体調を崩したきっかけを教えてください。
総合病院の医事課でレセプト請求を担当していました。毎月10日の請求期限に向けて、月初めは残業が続く環境でした。6年目くらいまでは何とかこなしていたのですが、7年目にベテランの先輩が退職して、その分の業務が私に回ってきたんです。入院レセプトと外来レセプトの両方を担当することになり、月初めは毎日22時まで残業する日々が続きました。
Q: 最初に現れた症状は何でしたか?
最初は頭痛と不眠でした。レセプトの請求期限が近づくと、夜中に何度も目が覚めて「あの算定は正しかったか」「返戻が来たらどうしよう」と考えてしまうんです。それから胃痛が始まり、朝食が食べられなくなりました。通勤電車の中で動悸がして、途中下車することも増えました。
Q: 病院に行きましたか?
皮肉なことに、自分が勤めている病院には行きづらくて、別の病院の心療内科を受診しました。「適応障害」と診断されました。医師からは「最低1か月の休養が必要」と言われ、診断書を出してもらいました。
Q: 休職はしなかったのですか?
休職制度はありましたが、悩んだ末に退職を選びました。理由は2つあります。1つは、休職して復帰しても同じ業務量が待っていること。人員補充の見込みがないと上司に言われたんです。もう1つは、休職中も「いつ復帰するのか」というプレッシャーがあるのが怖かったこと。思い切って環境を変えた方が回復が早いと判断しました。
Q: 退職届を出す時はどうしましたか?
直属の上司である医事課長に、診断書と一緒に退職届を提出しました。課長は「休職してから考えたら?」と引き留めてくれましたが、自分の中では決めていました。退職届には「一身上の都合により」と書きましたが、口頭で「体調不良で継続が難しい」と伝えました。退職日は1か月後に設定しましたが、課長の配慮で有給休暇を消化する形にしてもらい、実際の出勤は2週間ほどで済みました。
Q: 引き継ぎはどうしましたか?
体調が悪い中でしたが、最低限の引き継ぎ資料は作成しました。レセプト請求の手順書、算定で注意すべきポイント、返戻が多い項目のリストなどをまとめました。同僚が「体調が第一だから、細かいことは何とかするよ」と言ってくれたのが救いでした。
Q: 退職後の療養期間はどのように過ごしましたか?
最初の2か月はほとんど何もできませんでした。朝起きられず、日中もぼんやり過ごす日が続きました。3か月目くらいから少しずつ外出できるようになり、散歩や図書館通いを始めました。心療内科には2週間に1回通い、カウンセリングも受けました。6か月後にようやく「また働いてみようかな」と思えるようになりました。
Q: 復帰先としてクリニックのパートを選んだ理由は?
フルタイムで総合病院に戻る自信がなかったからです。クリニックのパートなら、残業がほとんどなく、レセプト請求の負担も軽い。「まずは無理のない範囲で働く」ことを優先しました。今のクリニックは院長が理解のある方で、体調が悪い日は早退させてもらえる環境です。徐々に勤務日数を増やしていく予定です。
Q: 体調不良で退職を考えている方にメッセージをお願いします。
「まだ頑張れる」「みんなも忙しいのに自分だけ弱音を吐けない」と思っている方が多いと思います。でも、体が出すサインを無視し続けると、回復に時間がかかります。私は8か月近く働けない期間がありました。もっと早く休んでいれば、もっと早く回復できたと思います。まずは心療内科を受診して、専門家の意見を聞いてください。退職届を出す勇気がない場合は、退職代行サービスを利用するのも一つの手段です。