インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 田中 美咲さん(仮名)
  • 年齢: 31歳
  • 経験年数: 医療事務歴7年
  • 勤務先: 内科クリニック(医師1名、スタッフ5名の個人クリニック)
  • 転職先: 大学病院の医事課

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Q: 医療事務を始めたきっかけを教えてください。

大学卒業後、一般企業の事務職に就いたのですが、1年で退職してしまいました。その後、医療事務の資格を取って、地元の内科クリニックに就職しました。「手に職をつけたい」「医療系は安定している」という理由でしたね。最初は覚えることが多くて大変でしたが、レセプト業務を一通り覚えてからは、やりがいを感じるようになりました。

Q: 7年間のクリニック勤務で、どんなスキルが身につきましたか?

小規模クリニックなので、受付・会計・レセプト請求・電話対応・院内清掃まで、本当に何でもやりました。レセプトに関しては、内科の算定はほぼ完璧にこなせるようになりましたし、返戻・査定の対応も一人でできるレベルになりました。ただ、内科単科のクリニックなので、扱う診療報酬の範囲が限られていたんです。DPC(包括医療費支払い制度)や手術の算定、入院の算定は経験がなく、このままでは医療事務としてのスキルが頭打ちになるという危機感がありました。

Q: 転職を考え始めたきっかけは何でしたか?

きっかけは2つあります。1つは、同じ時期に医療事務を始めた友人が大きな病院で働いていて、年収が50万円以上違うと知ったこと。もう1つは、院長が高齢で「あと数年で閉院するかもしれない」という話が出始めたことです。閉院してから慌てて転職するより、自分のタイミングで動いた方がいいと思いました。

Q: 転職活動はどのように進めましたか?

在職中に転職サイトに登録して、医療事務専門の求人を探しました。大学病院の医事課の求人が出ていて、「DPCや入院算定のスキルが身につく」「福利厚生が充実している」という点に魅力を感じて応募しました。面接では「なぜクリニックから大学病院へ?」と聞かれましたが、「より幅広い診療報酬の知識を身につけたい」と正直に答えました。クリニックでの7年間の実務経験は高く評価してもらえましたね。

Q: 退職を院長に伝えた時の反応はどうでしたか?

正直、一番緊張しました。小さなクリニックで7年も働いていたので、院長とは家族のような関係でしたから。退職の意思を伝えたのは退職希望日の2か月前です。院長は最初驚いていましたが、「キャリアアップのためなら応援する」と言ってくださいました。ただ、「後任が見つかるまで待ってほしい」と言われて、実際には3か月後の退職になりました。

Q: 引き継ぎはどのように進めましたか?

レセプト請求の手順書を一から作成しました。このクリニック独自の算定ルール(院長の診療スタイルに合わせた算定の注意点など)をまとめた資料も作りました。後任の方が決まってからは、2週間ほど一緒に業務をして、実際のレセプト作成を見てもらいながら引き継ぎました。患者さんの中には「田中さんがいなくなるのは寂しい」と言ってくれる方もいて、嬉しかったですね。

Q: 退職届はどのように書きましたか?

退職届には「一身上の都合により」と書きました。提出先は院長です。小規模クリニックなので、形式張った手続きはなく、院長に直接手渡ししました。退職届のテンプレートはネットで探して、院長宛の書式で作成しました。

Q: 転職後の年収や待遇の変化を教えてください。

年収は約280万円から約380万円に上がりました。賞与がしっかり出ることと、各種手当(通勤手当、住宅手当など)が充実しているのが大きいです。有給休暇も取りやすくなりました。クリニックでは「自分が休むと業務が回らない」というプレッシャーがありましたが、大学病院では複数人で業務を分担しているので、休みやすい環境です。

Q: これから医療事務の転職を考えている方にアドバイスをお願いします。

医療事務はスキルが明確なので、転職しやすい職種だと思います。ただし、クリニックと病院では求められるスキルが違うので、自分がどの方向に進みたいのかを明確にしておくことが大切です。また、退職前にレセプト請求の時期(月初め)を避けて退職日を設定すると、引き継ぎがスムーズです。小さなクリニックほど退職の影響が大きいので、十分な引き継ぎ期間を設けることをおすすめします。