インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 佐藤 恵美さん(仮名)
- 年齢: 35歳
- 経験年数: 医療事務歴10年
- 勤務先: 耳鼻咽喉科クリニック → 眼科クリニック
- 現在: 医療系ITベンチャーでカスタマーサポート職
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Q: 10年間の医療事務キャリアを振り返って、いかがですか?
最初の耳鼻咽喉科クリニックで5年、次の眼科クリニックで5年、合計10年間医療事務として働きました。レセプト請求、患者対応、院内の事務作業全般をこなせるようになり、後輩の指導も任されるようになりました。仕事自体は嫌いではなかったのですが、正直に言うと「この先10年も同じことを続けるのか」という閉塞感がありました。
Q: 給与面での不満はありましたか?
1院目の耳鼻咽喉科では、5年間で月給が2万円しか上がりませんでした。昇給は年に3,000〜5,000円程度。賞与は年2回で合計2か月分。年収は約280万円で頭打ちでした。2院目の眼科に転職した時に月給を2万円上げてもらいましたが、それでも年収は300万円ほど。同年代の友人と比べると、明らかに低いと感じていました。
Q: 医療事務の将来性についてどう感じていましたか?
オンライン資格確認やマイナ保険証の導入で、受付業務の自動化が進んでいますよね。「将来的に医療事務の仕事は減るのではないか」という不安がありました。実際、クリニックでも自動精算機を導入してから会計業務が減り、「スタッフを1人減らそうか」という話が出たこともあります。レセプト請求もAI化が進んでいるというニュースを見て、危機感を覚えました。
Q: 転職を決断するまでの葛藤はありましたか?
かなり悩みました。10年間積み上げてきたキャリアを手放すのは怖かったです。でも、医療事務の先輩を見ても、管理職になれるのはごく一部で、大半は現場の事務員として定年まで働くルートしかない。役職がないので給与も上がりにくい。「このままでいいのか」という気持ちが年々強くなりました。
Q: 異業種への転職活動はどうでしたか?
30代半ばで異業種は厳しいかと思いましたが、意外と選択肢はありました。転職エージェントに相談したところ、「医療事務の経験は医療系IT企業で重宝される」と言われました。電子カルテやレセプトシステムを開発している会社のカスタマーサポートや、医療機関向けのコンサルティング会社などを紹介されました。最終的に、電子カルテのベンチャー企業のカスタマーサポート職に決まりました。
Q: 退職届はどのように出しましたか?
院長に「来月末で退職させていただきたい」と伝え、翌日に退職届を提出しました。10年間の勤務実績があったので、院長も「引き留めても無駄だろう」と感じたのか、比較的あっさり受理されました。引き継ぎは1か月かけて丁寧に行いました。レセプトの算定で眼科特有の注意点をまとめた資料を後任に渡し、実際の業務を一緒にこなしながら引き継ぎました。
Q: 転職後の待遇はどう変わりましたか?
年収が約300万円から約420万円に上がりました。医療事務の現場経験がある人は少ないらしく、「実際にレセプトを作成していた人の視点」が評価されています。リモートワークも週2日可能で、通勤のストレスも減りました。ただ、IT業界は変化が速いので、常に新しいことを覚える必要があります。それでも、クリニックで同じ業務を繰り返していた頃より、やりがいを感じています。
Q: 医療事務からの転職を考えている方にアドバイスをお願いします。
医療事務の経験は思っている以上に価値があります。診療報酬の知識、患者対応のスキル、正確な事務処理能力は他業種でも活かせます。特に医療系IT企業やヘルスケア関連の企業では重宝されます。ただし、転職活動は在職中に始めることをおすすめします。退職してからだと焦りが出て、条件の悪い職場を選んでしまうリスクがあります。まずは転職エージェントに相談して、自分の市場価値を把握することから始めてみてください。