退職時に返却すべきPC・備品と、アカウント権限移譲の手順を網羅的に解説します。
返却が必要な備品一覧
ITエンジニアは一般的なオフィスワーカーより貸与品が多い傾向にあります。以下のチェックリストを活用してください。
ハードウェア
| 備品 | 確認事項 | 返却先 |
|---|---|---|
| ノートPC | 充電器・アダプター含む | IT管理部門 |
| 外付けモニター | ケーブル・スタンド含む | IT管理部門 |
| キーボード・マウス | 無線の場合はレシーバーも | IT管理部門 |
| ヘッドセット・Webカメラ | 付属品含む | IT管理部門 |
| セキュリティキー(YubiKeyなど) | 全て回収 | 情報セキュリティ部門 |
| 社用スマートフォン | SIMカード含む | IT管理部門 |
| ポータブルHDD・USBメモリ | 業務データの消去確認 | IT管理部門 |
カード・鍵類
- 社員証・入館カード
- サーバールームの鍵・ICカード
- 客先常駐の場合は客先の入館証
- 駐車場カード(該当する場合)
書類・資料
- 業務マニュアル・設計書の紙媒体
- 名刺(自分の名刺・受け取った名刺とも会社の方針に従う)
- NDA(秘密保持契約書)の控え(返却不要だが内容を再確認)
PCのデータ消去と引き継ぎ
やってはいけないこと
不正競争防止法(第2条第1項第4〜10号)により、以下の行為は法的責任を問われる可能性があります。
- 業務データを個人のストレージにコピー
- ソースコードを私的に保存
- 顧客情報・社内資料の持ち出し
- 退職前にデータを意図的に削除・破壊
推奨される手順
- 1 個人ファイルの確認: 私物のデータ(写真など)があれば事前に会社の承認を得て移動
- 2 ブラウザの個人アカウント: Chrome等のプロファイルからログアウト
- 3 パスワードマネージャー: 1Password等の個人アカウントの同期を解除
- 4 SSHキー: 個人のSSHキーを削除(GitHubなどに登録した公開鍵も後で削除)
- 5 PCの初期化は自分で行わない: IT部門の指示に従う(証拠保全の観点)
アカウント・権限の移譲チェックリスト
エンジニア特有のアカウント移譲は退職日の1〜2週間前に着手しましょう。
ソースコード管理
- GitHub / GitLab: Organization Ownerの場合は権限を他のメンバーに移譲
- リポジトリのAdmin権限を後任者に付与
- 個人アカウントに紐づくBotやGitHub Appの移管
- Deploy Keyの再設定
クラウドインフラ
- AWS: IAMユーザーの無効化・削除(Root権限を持つ場合は引き継ぎが最重要)
- GCP: IAMロールの見直し・サービスアカウントキーのローテーション
- Azure: AADアカウントの権限確認
CI/CDパイプライン
- GitHub Actions / CircleCI / Jenkins: シークレットの管理者変更
- デプロイ用のAPIキー・トークンの再発行
- Webhookの設定確認
SaaSツール
| サービス | 確認事項 |
|---|---|
| Slack | ワークスペースからの退出(管理者の場合は権限移譲) |
| Notion / Confluence | 管理者権限の移譲、個人ページの整理 |
| Figma | プロジェクトファイルの共有設定確認 |
| Sentry / Datadog | アラート通知の設定変更 |
| Docker Hub | Organization所属の確認 |
ドメイン・DNS
- ドメインレジストラのアカウント情報共有
- SSL証明書の管理者変更
- DNS設定の文書化
返却スケジュールの目安
| 時期 | 作業内容 |
|---|---|
| 退職2週間前 | アカウント権限の棚卸し・移譲開始 |
| 退職1週間前 | ドキュメント整備・引き継ぎ完了 |
| 退職3日前 | PCのデータ整理・個人アカウントのログアウト |
| 最終出社日 | 備品の返却・入館証の返却 |
SES・客先常駐の場合の注意点
SESエンジニアの場合、返却先が自社と客先の2箇所に分かれます。
- 客先の備品: 客先のIT部門に返却(入館証・PC・モニターなど)
- 自社の備品: 自社に返却(社員証・社用携帯など)
- アカウント: 客先のシステムアカウントは客先管理者に削除依頼
退職前に自社の営業担当と客先の管理者の双方に確認を取りましょう。