インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 西田 圭介さん(仮名)
- 年齢: 32歳
- 経験年数: 9年(受託開発企業に8年半勤務後、転職)
- 前職: 中規模の受託開発企業(社員数150名)のプロジェクトマネージャー兼エンジニア
- 現職: 外資系IT企業のシニアエンジニア
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Q: 待遇面でどのような不安がありましたか?
入社9年目で年収は520万円でした。ITエンジニアとしては平均的ですが、昇給ペースが鈍化していて。毎年の昇給が1〜2万円程度で、このペースだと40歳でも600万円に届かない計算。
受託開発の会社は「人月商売」なので、一人当たりの売上には上限があります。会社の利益構造的に、エンジニアの給与を大幅に上げるのは難しいんです。ボーナスも業績次第で、リーマンショック後に大幅カットされた経験があるので信用できませんでした。
Q: 技術面での不安はありましたか?
受託開発だと、クライアントの要望に合わせた技術選定になるので、自分で技術を選べません。Java + Spring + Oracle という構成が多くて、8年間ほぼ同じ技術スタックでした。
世の中ではクラウドネイティブ、コンテナ、サーバーレス、AI/MLが当たり前になっているのに、自分は触ったこともない。「35歳限界説」は都市伝説だと頭ではわかっていますが、技術が陳腐化する恐怖はリアルでした。
30歳を過ぎてから勉強会に参加すると、20代のエンジニアがKubernetesやTerraformを当たり前に使っていて。「自分はもう時代遅れなのかもしれない」と焦りを感じました。
Q: マネジメント路線への転向は考えませんでしたか?
会社からは「そろそろプレイングマネージャーから完全なマネージャーに移行してほしい」と言われていました。でも、マネージャーになるとコードを書く時間がさらに減る。技術力の低下が加速するのが怖かったんです。
しかもマネージャーの年収を聞いたら、プレイングマネージャーとほとんど変わらない。責任は増えるのに報酬は変わらない。それなら技術を磨いて、技術で勝負できる環境に行きたいと思いました。
Q: 転職活動で苦労した点は?
「受託開発8年」という経歴は、自社開発企業からは「モダンな技術の実務経験がない」と見られがちです。面接で「Javaは書けるがGoは業務経験がない」と正直に答えると、見送りになることも。
そこで半年間、業務後に毎日2時間勉強して、AWSの資格(SAA、SAP)を取得しました。個人開発でGo + AWS + Terraformの構成でサービスを作り、GitHubに公開。「実務経験はないが、自己学習で習得した」と面接でアピールしました。
最終的に外資系IT企業のシニアエンジニアとして内定をもらいました。面接では「受託開発で培った要件定義力とプロジェクト管理経験」が評価されたようです。
Q: 退職届の提出から退職日までの流れを教えてください。
直属の部長に2ヶ月前に伝えました。「外資系に転職する」と話したら、「うちでは無理だけど、外資なら年収上がるだろうね」と理解を示してくれました。
退職届は代表取締役社長宛てで「一身上の都合」。引き継ぎは2ヶ月かけて行いました。担当していた3つのクライアントプロジェクトの引き継ぎが最も時間がかかりました。クライアントとの関係性、過去の経緯、今後の課題をすべてドキュメントにまとめて後任に渡しました。
受託開発の場合、クライアントへの担当者変更の連絡も必要です。クライアントとの信頼関係は属人的なので、後任を連れて挨拶に行きました。
Q: 転職後の待遇はどう変わりましたか?
年収は520万円から780万円に上がりました。外資系はジョブグレード制で、スキルと成果に応じた報酬体系です。毎年の評価で昇給の幅も大きく、「頑張りが報われる」実感があります。
技術面では、入社後のオンボーディングでGo、gRPC、Kubernetesの研修を受けられました。業務でモダンな技術スタックを使えるようになって、「技術的に遅れている」という不安がなくなりました。
年収と技術の両方に不安を感じているエンジニアは、「今の会社で解決できる問題か」を冷静に考えてみてください。会社の事業モデル上、エンジニアの給与を上げられないなら、転職が最も合理的な解決策です。外資系やメガベンチャーは、技術力に見合った報酬を出してくれます。転職のハードルは、準備さえすれば思ったより高くありません。