インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 石井 大輔さん(仮名)
- 年齢: 33歳
- 経験年数: 建設業歴9年(施工管理)
- 勤務先: ゼネコン
- 資格: 1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士
- 担当: マンション新築工事の現場所長
---
Q: 転職を考え始めたきっかけは何でしたか?
中堅ゼネコンで9年間、施工管理として現場を回してきました。アパートの現場からスタートして、最終的にはマンション新築工事の現場所長を任されるようになって。1級建築施工管理技士と1級土木施工管理技士の資格も取りました。
でも、現場所長になっても年収は550万円。残業は月60〜80時間で、時給換算するとコンビニのバイトと変わらないんじゃないかと(苦笑)。しかも、現場が終わるたびに次の現場に飛ばされて、引っ越しを繰り返す生活。結婚して子どもも生まれたのに、単身赴任状態。「いつまでこの生活を続けるんだろう」と思いました。
Q: デベロッパーを選んだ理由は?
施工管理の経験と資格を活かせて、かつ「作る側」ではなく「企画する側」に回れる仕事を探しました。デベロッパーの技術職は、土地の取得から企画、設計監理、施工監理まで上流工程を担当します。現場に張り付く必要がなく、内勤中心。
大手デベロッパーなら年収700万〜800万円のレンジで、福利厚生も充実。何より転勤が少なく、家族と一緒に暮らせる。「1級施工管理技士の資格を持っている施工管理経験者」はデベロッパーにとって喉から手が出るほど欲しい人材だと、転職エージェントに言われました。
Q: 転職活動の実態を教えてください。
建設業界に強い転職エージェント2社に登録しました。現場にいると平日の面接は難しいので、土曜日や夕方以降の面接を調整してもらいました。オンライン面接に対応してくれる企業も多かったです。
面接では、担当した現場の規模(RC造15階建てマンション、工事金額○億円)、工期短縮の実績、安全管理の取り組みなどを具体的に話しました。「この現場で何を課題と感じ、どう解決したか」をストーリーで語るのがポイントです。
最終的に大手デベロッパーの技術職として内定。年収は700万円で、前職から150万円アップしました。
Q: 上司への退職の切り出し方は?
建設業では「現場が終わるタイミング」で辞めるのが暗黙のルールです。工事の途中で辞められると、後任の所長を見つけるのが大変ですから。私は担当現場の竣工が近づいたタイミングで、部長に面談を申し入れました。
「キャリアアップのために転職したい」と率直に伝えました。部長は最初「考え直せ」と言いましたが、「家族と一緒に暮らしたい」「これ以上の単身赴任は難しい」という理由も話したら、理解してくれました。「石井の気持ちが固いなら仕方ない。竣工検査まではやってくれ」と言われ、承諾しました。
Q: 退職届の提出と引き継ぎは?
退職届は竣工検査の1ヶ月前に提出しました。宛名は代表取締役社長名。「一身上の都合により」の定型文です。建設業は会社の規模が大きいので、退職届の提出先は総務部でした。
引き継ぎでは、現場の残工事リスト、協力業者の連絡先と関係性、近隣住民への対応履歴、行政への届出状況など、膨大な資料を整理しました。後任の所長に現場を案内して、職人さんたちにも紹介。職人さんから「石井さんが辞めるなら寂しいな」と言ってもらえたのは嬉しかったです。
Q: 転職後の生活はどう変わりましたか?
まず、家に帰れるようになりました(笑)。内勤中心で、残業も月20時間程度。土日は家族と過ごせる。子どもの運動会に行けたときは、本当に嬉しかった。
仕事内容も、企画段階からプロジェクトに関われるのでやりがいがあります。施工管理の経験があるからこそ、「この設計だと施工が難しい」「この工程だとコストが膨らむ」と具体的な指摘ができて、社内での評価も高いです。
Q: キャリアアップを目指す建設業従事者にアドバイスはありますか?
資格は最強の武器です。1級施工管理技士を持っているだけで、転職市場での価値が格段に上がります。まだ取っていない人は、今の現場にいるうちに取ってください。
転職のタイミングは「現場が終わるとき」がベスト。工事途中の退職は、協力業者や職人さんにも迷惑がかかるし、自分の評判にも影響します。逆に竣工まで見届けてからの退職は、「最後まで責任を果たした」と評価されます。
施工管理の経験は他業種でも高く評価されます。デベロッパー、建設コンサル、不動産、設備管理など、選択肢は多い。「現場しか知らない」と自信を失わず、自分のスキルを棚卸ししてみてください。