インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 木村 さやかさん(仮名)
- 年齢: 33歳
- 経験年数: 10年(グループホームに8年勤務後、退職)
- 前職: グループホーム(2ユニット18名)の介護リーダー
- 現在: 親の介護をしながら訪問介護のパート勤務
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Q: 親の介護が始まった経緯を教えてください。
母が脳梗塞で倒れたのは、私が入職7年目のときでした。右半身に麻痺が残り、要介護3の認定を受けました。父は既に他界していて、きょうだいは弟が一人いますが遠方に住んでいるため、実質的に私が主介護者になりました。
最初はデイサービスとヘルパーを利用しながら仕事を続けていました。平日の日中は介護サービスに任せて、夜と休日は私が見るという体制です。
Q: 両立が難しくなったのはいつ頃ですか?
母が倒れて半年くらいからです。認知機能の低下が進んで、夜中に徘徊するようになりました。夜中に起こされて、翌日そのまま夜勤に入ることもあって。自分が仕事で利用者さんの介護をしているのに、家では母の介護が待っている。「介護職が介護離職するなんて皮肉だな」と何度も思いました。
介護リーダーとしてシフト管理もしていたので、自分だけ夜勤を減らすわけにもいかず。ショートステイを利用しようとしても、なかなか空きがなくて。
Q: 職場には相談しましたか?
施設長に相談して、介護休業の取得を検討しました。介護休業は通算93日取れるんですが、93日では母の介護の目処は立ちません。介護休業給付金も賃金の67%なので、収入も減ります。
「時短勤務にしてもらえないか」とも相談しましたが、グループホームはシフト制で「時短で入れる枠がない」と言われました。結局、有給休暇を使い果たして、欠勤が増えていきました。
Q: 退職を決めた決め手は?
ある日、仕事中に母のケアマネから電話がかかってきて、「お母さんがデイサービスで転倒して、救急搬送されました」と。すぐに駆けつけたかったんですが、グループホームの利用者さんの夕食介助の真っ最中で、代わりのスタッフがいませんでした。
結局、1時間遅れで病院に駆けつけました。幸い骨折はなかったんですが、母が「どうしてすぐに来てくれなかったの」と泣いているのを見て、「このままではどちらも中途半端だ」と思いました。
Q: 退職届はどのように提出しましたか?
施設長に「親の介護に専念するため退職したい」と伝えました。施設長は「パートに切り替える選択肢もある」と提案してくれましたが、母の状態を考えるとフルで介護に関わる必要があったので、退職を選びました。
退職届は施設長宛てで、理由は「家庭の事情により」としました。退職日は1ヶ月後に設定しました。最後の2週間はシフトを日勤のみにしてもらって、引き継ぎに集中しました。
Q: 退職後の生活はどうですか?
最初の半年は母の介護に専念しました。介護サービスの調整(デイサービス週3回、訪問介護週2回、ショートステイ月1回)を見直して、安定した体制を作りました。
収入がゼロになるのは厳しかったので、失業保険を受給しながら、母がデイサービスに行っている間に訪問介護のパートを始めました。週3日、1日4時間程度です。訪問介護なら自分のスケジュールに合わせやすいので。
Q: 介護離職を考えている方にアドバイスはありますか?
まず、辞める前に使える制度を全部調べてください。介護休業、介護休暇(年5日、対象家族2人以上なら年10日)、時短勤務、フレックスタイム。会社によっては独自の支援制度もあります。
それでもダメなら、地域包括支援センターに相談してください。介護サービスの組み合わせで仕事を続けられる可能性もあります。
退職するなら、「完全に辞める」のではなく「パートや登録ヘルパーとして細くつながる」ことをおすすめします。介護業界は復職しやすいですが、ブランクが長くなると不安が大きくなるので。