インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 渡辺 健太さん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 7年(特養に6年半勤務後、退職)
- 前職: 社会福祉法人の特別養護老人ホーム
- 現在: 療養後、福祉用具専門相談員として勤務
---
Q: 腰痛はいつ頃から始まりましたか?
入職2年目くらいから時々腰に違和感を感じていました。特養はベッドから車いすへの移乗介助が多くて、体重の重い利用者さんを一日に何十回も抱えるんです。最初は筋肉痛程度だったのが、4年目あたりから慢性的な痛みになりました。
整形外科でレントゲンを撮ったら「腰椎椎間板ヘルニア」と診断されました。医師からは「重いものを持つ仕事は控えるように」と言われましたが、介護の仕事でそれは事実上不可能ですよね。
Q: 職場には相談しましたか?
主任に相談して、入浴介助の担当を外してもらいました。入浴介助は特に腰に負担がかかるので。でも人手不足で、結局ヘルプに入ることが多くて。コルセットを巻いて仕事をしていました。
5年目に一度、ぎっくり腰で2週間休みました。そのとき労災申請を提案されたんですが、施設長から「労災にすると施設の評判に関わる」と暗に止められて、結局自分の健康保険で処理しました。今思えば、労災申請すべきでした。
Q: 退職を決意した経緯を教えてください。
6年目の秋、夜勤中に利用者さんを起こそうとしたとき、腰に激痛が走って動けなくなりました。もう一人の夜勤スタッフに助けてもらって、そのまま病院に運ばれました。MRIで椎間板の状態がかなり悪くなっていて、医師から「手術するか、少なくとも介護の仕事は半年以上休む必要がある」と言われました。
手術は避けたかったので、リハビリで回復を目指すことにしました。でも回復しても同じ仕事に戻ったらまた悪化する。「もう身体介護を続けるのは無理だ」と認めるしかありませんでした。
Q: 退職届はどのように提出しましたか?
入院中に施設長に電話で退職の意思を伝えました。退職届は家族に代筆してもらって、郵送で提出しました。宛名は理事長で、理由は「体調不良により業務の継続が困難なため」としました。
退職日は診断書に基づいて、伝えた日から1ヶ月後に設定しました。引き継ぎは電話とメールで行い、利用者さんの個別ケアの注意点をまとめた資料を作成して送りました。有給休暇は残っていた分を全て消化しました。
Q: 退職後の経済面はどうでしたか?
傷病手当金を申請しました。健康保険から基本給の約3分の2が支給されるので、すぐに生活に困ることはありませんでした。リハビリに専念して、3ヶ月後には日常生活に支障がない程度に回復しました。
退職後に改めて労災について調べたんですが、介護職の腰痛は「業務上疾病」として労災認定される可能性があります。発症から2年以内なら遡って申請もできるので、同じ状況の方は労基署に相談することをおすすめします。
Q: 今はどのような仕事をしていますか?
福祉用具専門相談員として働いています。介護ベッドや車いすなどの福祉用具を、利用者さんやご家族に提案する仕事です。身体介護がないので腰への負担は格段に減りました。介護現場の経験があるからこそ「この利用者さんにはこの用具が合う」と判断できるので、前職の経験が直接活きています。
年収は前職とほぼ同じで、夜勤がない分むしろ時給換算では上がっています。介護の仕事は好きだけど身体がついていかないという方は、介護業界の中でも身体的負担の少ない職種(ケアマネ、相談員、福祉用具、事務)を検討してみてください。