- 名前:加藤 裕也(仮名)
- 年齢:31歳
- 経験年数:8年
- 勤務先:大手銀行(支店勤務、個人営業→法人営業)
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Q: 体調不良の症状について教えてください。
入行8年目、法人営業に異動して2年目のことです。融資案件のノルマに加えて、投信・保険のクロスセル目標、新規開拓件数。毎月の目標が複合的で、常に何かが未達という状態でした。
最初に出た症状は胃痛。朝食を食べると胃がキリキリ痛む。胃腸科で検査したら「ストレス性胃炎」と診断されました。薬を飲みながら仕事を続けましたが、6年目の秋から不眠が始まりました。
布団に入っても「明日の融資先訪問の準備は大丈夫か」「月末の数字は達成できるか」と頭が回り続けて眠れない。睡眠時間は3〜4時間。朝起きても疲れが取れず、頭がぼんやりした状態で出勤していました。
Q: 周囲は気づいていましたか?
同僚には「顔色が悪い」と言われていましたが、銀行員は全員ストレスを抱えているので「お互い様」という空気。自分だけが弱音を吐くわけにはいかないと思っていました。
妻には不眠のことを相談していましたが、「転職したら?」と言われても、住宅ローンを組んだばかりで踏み切れず。結局、7年目の冬に出勤中の電車の中で過呼吸を起こしました。
Q: 休職に至った経緯を教えてください。
過呼吸をきっかけに心療内科を受診。「うつ病」と診断されました。医師から「まず休むことが最優先」と言われ、診断書を支店長に提出して休職に入りました。
最初は1ヶ月の予定でしたが、回復が思うように進まず、3ヶ月に延長。銀行の休職制度は最大2年間利用可能でしたが、3ヶ月目の終わりに「復職しても同じ環境では再発する」と主治医から言われ、退職を決断しました。
Q: 退職届はどのように提出しましたか?
休職中だったので、人事部に電話で退職の意思を伝え、退職届を郵送しました。頭取宛て、理由は「体調不良により業務の継続が困難なため」。診断書のコピーを同封しました。
支店長には人事部から連絡が行く形で、直接やり取りは最小限。引き継ぎは休職前にある程度済ませていましたが、追加で融資案件の進捗をメールでまとめて送りました。
傷病手当金は休職時に申請済み。退職後も継続受給できたので、半年間の療養期間の生活費は確保できました。
Q: 退職後の回復と現在の状況を教えてください。
退職後半年は完全に療養に専念。薬を飲みながら、規則正しい生活と軽い運動(散歩から始めて、徐々にジョギングへ)を続けました。
7ヶ月目から転職活動を開始。大手銀行の法人営業経験を評価してくれた中堅メーカーの経理部門に転職しました。年収は前職の650万から520万に下がりましたが、ノルマがない事務職で精神的な安定を手に入れました。
現在は薬も減らせて、不眠もほぼ解消。「あのまま金融機関にいたら壊れていた」と確信しています。
Q: 体調に不安を抱えている銀行員にアドバイスをお願いします。
金融機関勤務は「弱音を吐けない」文化が根強い。でも、体は嘘をつきません。胃痛、不眠、動悸。これらはSOSのサインです。
休職は「負け」ではありません。金融機関の休職制度は比較的充実しているので、まず休むことを優先してください。その上で、「この環境に戻れるか」を冷静に判断する。
退職届は郵送でも有効です。休職中に無理して出社する必要はありません。傷病手当金の手続きだけは在職中に済ませておくこと。金融機関での経験は異業種でも高く評価されるので、キャリアの不安は杞憂です。