• 名前:森 健太郎(仮名)
  • 年齢:30歳
  • 経験年数:7年
  • 勤務先:大手銀行(法人営業部門)
  • 転職先:FinTech企業(事業開発部門)

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Q: 退職を考え始めたきっかけを教えてください。

大手銀行に新卒で入行して7年。最初の4年は支店で法人融資を担当し、その後本部の審査部門に異動しました。銀行の仕事自体は面白かったのですが、「このまま30年銀行員を続けるのか」という漠然とした不安がありました。

きっかけは、銀行の取引先だったFinTech企業の社長との会話です。「銀行出身者がうちに来てくれると即戦力なんだけど」と言われたとき、初めて「銀行の外」のキャリアを意識しました。

調べてみると、銀行員のFinTech転職は増えている。融資審査や財務分析のスキルはFinTechでそのまま活かせるし、年収もメガバンクの同年代より高い。

Q: 転職活動はどのように進めましたか?

金融業界に強い転職エージェントを2社使いました。銀行員の転職は意外とパターンが決まっていて、FinTech、コンサル、PEファンド、事業会社の財務部門あたりが王道です。

面接では、法人融資での財務分析経験と、本部での審査フレームワークの知見をアピール。「融資先の事業計画を評価してきた経験は、FinTechのプロダクト開発に活かせる」というストーリーが刺さりました。

内定時の年収は700万。銀行7年目の550万から150万アップです。ストックオプション込みならさらに上振れの可能性もあります。

Q: 上司にはどのように退職を伝えましたか?

まず直属の課長に伝え、その後部長、支店長(本部の場合は部門長)の順で報告しました。銀行はラインの報告が厳格なので、飛び越えは絶対にNG。

課長は「もったいない」と残念がりつつも、「最近は優秀な人ほど外に出る傾向がある」と理解を示してくれました。部長からは「一度辞めたら戻れないぞ」と忠告されましたが、決意は変わりませんでした。

退職届は頭取宛て。メガバンクなので、退職届は人事部経由で処理されます。理由は「一身上の都合により」。退職日は2ヶ月後に設定しました。銀行の慣例として、最低2ヶ月前には申し出る必要があります。

Q: 銀行特有の退職手続きで注意したことは?

銀行の退職は他の業種より手続きが多いです。

まず、担当している融資先の引き継ぎ。法人融資は案件ごとに稟議書が存在するので、進行中の案件のステータスを全て後任に引き継ぎました。特に大口融資先は後任と一緒に訪問して顔つなぎ。

次に、資格関連。銀行業務検定、FP、証券外務員などの資格証書は個人のものですが、銀行に届け出ていた資格情報の変更手続きが必要でした。

あと、行内システムへのアクセス権限の停止。これは情報セキュリティの観点から最終出勤日に一括で処理されます。持ち出し禁止の資料がないか、デスクとロッカーを人事立ち会いのもとで確認する手続きもありました。

Q: 転職後の生活はいかがですか?

FinTechは銀行と文化が全く違います。スーツではなくカジュアルな服装、フラットな組織、意思決定のスピード。最初は戸惑いましたが、半年で慣れました。

金融機関で叩き込まれた「数字を正確に扱う能力」と「リスク管理の考え方」は、FinTechでも非常に重宝されています。事業開発で新規プロダクトの企画に携わっていますが、前職の融資審査の経験がダイレクトに活きています。

Q: キャリアアップを考えている銀行員にアドバイスをお願いします。

金融機関での経験は外の世界で高く評価されます。特に融資、審査、リスク管理の経験は貴重。「この業界しか知らない」と思い込まないでください。

退職届は2ヶ月前には出すこと。引き継ぎは融資案件が中心なので、稟議書と顧客情報の整理を計画的に。あと、退職後に金融機関の内部情報を漏らさないこと。守秘義務は退職後も続きます。コンプライアンス意識は金融従事者の最大の武器でもあります。