- 名前:橋本 萌(仮名)
- 年齢:28歳
- 経験年数:5年
- 勤務先:銀行(個人営業部門、支店勤務)
- 転職先:コンサルティングファーム(金融セクター担当)
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Q: 退職を考え始めた理由を教えてください。
きっかけは、入行5年目に見た業界ニュースです。地銀の統合・合併が加速していて、自分の銀行も「いつ合併対象になるかわからない」という空気がありました。合併すれば人員整理は避けられない。5年目の若手は真っ先にリストラ対象です。
それに加えて、フィンテック企業の台頭。ネット銀行、スマホ決済、AIによる融資審査。銀行の伝統的なビジネスモデルが崩れていくのを日々実感していました。窓口業務のデジタル化で支店の統廃合も進み、「10年後に自分のポストが存在するのか」という根本的な不安がありました。
Q: 給与面での不満もありましたか?
5年目で年収420万。地方では悪くない数字ですが、投信や保険の販売ノルマを死ぬ思いでこなしてこの金額。割に合わないと感じていました。
昇格しても支店長代理で500万、支店長で650万。支店長になれるのは同期の1〜2割。しかも支店長になるまでに20年以上かかる。その間、転勤を繰り返し、ノルマに追われ続ける。
大学の同期でコンサルに行った友人が、5年目で年収700万超。「同じレベルの努力で、なぜこんなに差がつくのか」と悔しくなりました。
Q: 転職先はどのように決めましたか?
銀行で培った金融知識と法人対応の経験を活かせる先を探しました。候補はコンサル、FinTech、事業会社の財務部門。
コンサルティングファームの金融セクター担当が一番しっくりきました。「銀行の内側を知っている人材」は、銀行向けのコンサルティングで重宝されます。面接では、支店での投信販売の改善施策(独自の提案スクリプトを作成して支店内の販売額を1.3倍にした事例)を具体的に話しました。
年収は600万でオファー。前職比+180万。コンサルは激務ですが、成長のスピードが段違いだと感じています。
Q: 退職届の提出と退職の流れを教えてください。
内定承諾後、まず課長に報告。課長は驚きつつも「若いうちのチャレンジは応援する」と。支店長は「銀行を辞めて後悔する人は多いぞ」と引き止めてきましたが、具体的な待遇改善の提案はなく、決意は変わりませんでした。
退職届は頭取宛て、人事部に提出。理由は「一身上の都合により」。退職日は2ヶ月後に設定。
個人営業担当だったので、投信・保険の顧客リストと、各顧客のリスク許容度・資産状況のメモを後任に引き継ぎ。顧客の個人情報は厳格に管理されているので、引き継ぎは行内システム上で完結しました。
Q: 銀行特有の退職時の注意点は?
いくつかあります。
まず、証券外務員資格の登録抹消。銀行を退職すると所属変更が必要なので、転職先で再登録しました。FPや銀行業務検定の合格証は個人のものなので持ち出しOK。
次に、銀行の社宅に住んでいる場合は退去期限を確認すること。私は社宅ではなかったので問題ありませんでしたが、同期は退職後1ヶ月以内に退去を求められていました。
あと、退職金の受取方法。勤続5年だと退職金は少額ですが、確定拠出年金(企業型DC)の移換手続きは忘れずに。6ヶ月以内に手続きしないと国民年金基金連合会に自動移換されてしまいます。
Q: 将来に不安を感じている銀行員にアドバイスをお願いします。
地銀の将来性に不安を感じているなら、その直感はおそらく正しいです。業界再編は加速しており、待っていても状況は良くなりません。
銀行員の市場価値は、実は高い。特に融資、審査、コンプライアンスの経験は多くの業界で求められています。「石の上にも三年」は達成しているなら、5年目以降は積極的に外を見るべきです。
退職届を出す前に、転職エージェントに登録して自分の市場価値を確認してみてください。「銀行の給与が低い」のではなく「自分のスキルに対して銀行の給与が低い」ということがわかるはずです。