インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 石川 裕美さん(仮名)
  • 年齢: 32歳
  • 経験年数: 9年(産休・育休含む)
  • 前職: 私立認可保育園の3歳児クラス担任
  • 現在: 専業主婦(復職準備中)

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Q: 第一子出産後の復職はどうでしたか?

第一子を出産して1年間育休を取り、復職しました。自分の子どもは別の保育園に預けて。保育士なのに「自分の子どもの保育園のお迎えに間に合わない」という皮肉な状況でした。

担任を持つと行事の準備や保護者対応で残業が発生しますし、土曜保育の当番もあります。夫は協力的でしたが、夫も平日は仕事が遅いので、結局私の母に頼ることが多かったですね。

Q: 第二子の妊娠後はどうなりましたか?

第二子の妊娠がわかったとき、正直「嬉しいけど、どうしよう」と思いました。上の子が2歳、お腹に赤ちゃん。復職後は0歳児と2歳児を抱えて、朝7時に家を出て夜7時に帰る生活になる。

園長に妊娠を報告したら、「また育休?人が足りないのに」というニュアンスのことを言われました。悪気はなかったと思いますが、「迷惑をかけている」という罪悪感が強くなりました。

Q: 退職を決めた理由は?

育休中に上の子の成長を間近で見られたことが大きかったです。復職していたときは、子どもの「初めて」をいつも保育園の先生から聞いていました。初めて歩いた瞬間も、初めてしゃべった言葉も。

「他の子どもの成長は見られるのに、自分の子どもの成長を見逃している」という矛盾に、ずっと引っかかっていたんです。二人目が生まれて、「今しかないこの時間を大切にしたい」と思って退職を決めました。

Q: 退職届の提出はスムーズでしたか?

育休中に園長に電話で伝えました。「育休明けに復職せず、退職させていただきたい」と。園長は「復職するつもりで育休を取ったのに」と難色を示しましたが、法律上、育休中の退職は認められています。

退職届は郵送で提出しました。園長宛てで、理由は「育児に専念するため」としました。退職日は育休満了日に合わせました。本来なら引き継ぎをすべきですが、育休中だったので、クラスの引き継ぎは既に他の先生に任されている状態でした。

Q: 退職後の生活はどうですか?

経済的には厳しくなりました。夫の収入だけだと月5万円くらい貯蓄に回す余裕がなくなって。失業保険は、育休後の退職でも受給できるんですが、妊娠・出産・育児を理由に受給期間の延長手続きをしました。下の子が1歳になったら求職活動を始める予定です。

でも精神的には格段に楽になりました。子どもの成長を毎日見られるのは幸せです。上の子を公園に連れて行く時間も増えて、「ママ大好き」と言われるたびに「この選択で良かった」と思います。

Q: 復職の計画はありますか?

下の子が1歳半になったら、パートから復帰する予定です。保育士のパートは時給が高い地域で1,300〜1,500円くらいで、午前中だけの勤務も可能です。

保育士の資格は一生ものなので、「今辞めたら二度と戻れない」ということはありません。むしろ、自分の子育て経験が保育に活きると思っています。保護者の気持ちがわかるようになりましたし、子どもの発達を家庭の視点から見られるようになりました。

退職を迷っている子育て中の保育士に伝えたいのは、「キャリアは中断しても再開できる」ということ。保育士不足の時代なので、復帰の機会はいつでもあります。今しかない子どもとの時間を優先しても、後悔はしないと思います。