# パワハラ班長の下で6年、限界を迎えて退職した体験談
- 名前: S.Oさん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 6年(食品加工製造)
- 勤務先: メーカーの製造ライン
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Q: どのようなパワハラを受けていましたか?
入社2年目で配属されたラインの班長が問題の人物でした。最初は指導熱心なだけだと思っていましたが、次第にエスカレートしていきました。
- ミスをすると作業を止めてライン全員の前で怒鳴る(「お前のせいで全員が迷惑してるんだ」)
- 休憩時間を勝手に短縮する(「10分で戻れ」)
- 生産ノルマを私だけ1.5倍に設定する
- 有給を申請すると「休む暇があったら技術を磨け」と却下する
- 体調不良で休んだ翌日に「根性がない」と言う
特につらかったのは、密閉された工場内で逃げ場がないことです。オフィスなら別のフロアに行けますが、ラインについている間はずっとその人の近くにいなければなりません。
Q: 周囲の反応はどうでしたか?
同じラインのメンバーは「班長はああいう人だから」と諦めている雰囲気でした。先輩からは「俺も昔はもっとひどかった。我慢しろ」と言われました。工場特有の「厳しい指導は当たり前」という空気がありました。
製造課長に相談したこともあります。でも「あいつは生産実績が一番だからな」と、暗に我慢しろと言われました。班長が優秀な生産成績を出していたので、会社としても強く言えなかったのだと思います。
Q: 退職を決断したきっかけは?
6年目のある日、私が担当していた工程で機械トラブルが起きました。私のミスではなく設備の経年劣化が原因でしたが、班長は「お前がちゃんと点検してなかったからだ」と30分以上怒鳴り続けました。
その時、初めて手が震えて止まらなくなりました。帰宅後も震えが止まらず、翌日は出勤できませんでした。妻に連れられて心療内科を受診し、「適応障害」と診断されました。
その場で「もう戻れない」と確信しました。
Q: 退職届はどのように出しましたか?
診断書をもらった翌日に、班長ではなく製造部長に直接連絡しました。「体調不良で退職したい」と伝え、診断書を見せました。部長は「分かった、手続きを進める」と言ってくれました。
退職届は郵送で提出しました。もう工場に行くことが精神的に無理だったからです。退職届を郵送すること自体は法的に問題ありません。内容証明郵便で送りました。
引き継ぎは、以前から作っていた作業手順メモがあったので、それを製造課長にメールで送りました。本来なら直接引き継ぎをすべきですが、診断書が出ている状態では無理をする必要はないと労働相談窓口でも言われました。
退職日は届出から2週間後(民法の規定通り)としました。有給が25日残っていたので、実質的には出勤せずに退職できました。
Q: 退職後の生活はどうなりましたか?
最初の2ヶ月は自宅療養でした。適応障害の症状(動悸、手の震え、不眠)は1ヶ月ほどで改善しました。3ヶ月目から失業保険を受給しながら、職業訓練校でフォークリフトの免許を取得しました。
今は物流倉庫で働いています。工場ほど閉鎖的な環境ではなく、上司との関係も良好です。年収は少し下がりましたが、精神的な安定のほうがずっと大切だと気づきました。
パワハラで悩んでいる方は、まず証拠を残すことが大切です。日時、場所、発言内容をメモする。可能なら録音する。そして心療内科で診断書をもらう。これがあると、退職後の失業保険で「特定受給資格者」として認められ、給付制限なしで受給できる可能性があります。