# 年収の頭打ちと自動化の波、将来不安から転職を決意

  • 名前: Y.Tさん(仮名)
  • 年齢: 32歳
  • 経験年数: 9年(精密機器組立)
  • 勤務先: メーカーの製造部門

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Q: 将来に不安を感じ始めたのはいつ頃ですか?

7年目くらいからです。直接のきっかけは、私が担当していた組立工程に産業用ロボットが導入されたことでした。3人で回していたラインが、ロボット導入後は2人で済むようになりました。余った1人は別のラインに異動になりましたが、そのラインも将来的には自動化の予定だと聞きました。

「いずれ自分の仕事もロボットに置き換わるんだ」と現実を突きつけられました。会社の設備投資計画を見ると、5年後には製造ラインの70%を自動化する方針でした。

Q: 給与面での不満もありましたか?

9年勤務して年収は約370万円(夜勤手当・残業代込み)でした。基本給は22万円で、夜勤手当と残業代で月30万円前後になる計算です。つまり、夜勤や残業がなければ年収300万円を切る。

昇給は年に3,000〜5,000円程度。係長になれば手当がつきますが、それでも月1万円程度です。同年代の大卒の友人と比べると100万〜200万円の差がありました。高卒で工場に入った時は「安定している」と思っていましたが、「安定」と「低空飛行」は違うと気づきました。

Q: 工場勤務の将来性についてどう考えていましたか?

正直、暗いと思っていました。私の工場だけでなく、製造業全体で自動化・省人化が進んでいます。残る仕事はロボットのメンテナンスや監視ですが、それは高度な技術が必要で、今の自分のスキルでは対応できない。

また、工場が海外に移転するリスクもあります。実際、うちの会社も一部のラインをベトナムに移管しました。国内工場はどんどん縮小していく流れです。

「このままここにいて、40代・50代になった時にリストラされたらどうする」という恐怖が常にありました。

Q: どのように転職活動をしましたか?

まず、自分に何ができるかを棚卸ししました。工場での経験は「製造」「品質管理」「設備保全」「安全管理」の4つに分解できます。この中で市場価値が高いのは「設備保全」と「品質管理」だと転職エージェントに教えてもらいました。

在職中にフォークリフト免許と危険物取扱者乙種4類の資格を取りました。これらは物流・倉庫業界でも評価される資格です。

転職活動は3ヶ月ほどで、物流企業の倉庫管理者と、設備メンテナンス会社の2社から内定をもらいました。設備メンテナンス会社を選び、年収は420万円(日勤固定)になりました。

Q: 退職届の提出と退職までの流れを教えてください。

内定を受諾してから、製造課長に退職の意思を伝えました。理由は「設備メンテナンスの仕事に挑戦したい」と。課長は「引き止めたいけど、将来のことを考えたら応援する」と言ってくれました。

退職届は「一身上の都合」で提出。退職日は1ヶ月半後の月末に設定しました。工場では月末退社が一般的です。月の途中だとシフト調整が大変になるからです。

  • 担当設備の操作手順書の更新
  • 品質チェックのポイントをまとめた資料
  • 過去のトラブル事例と対処法のデータベース
  • 安全作業の注意点リスト

Q: 転職後の感想は?

転職して1年半経ちましたが、正解だったと思います。設備メンテナンスの仕事は技術力が直接評価されるので、やりがいがあります。資格手当もあり、電気工事士を取得すればさらに年収が上がります。

工場勤務で将来に不安を感じている方は、「今の環境に慣れている」という安心感に甘えないでほしいです。自動化は確実に進みます。その前に、市場価値のあるスキルや資格を身につけておくことが保険になります。転職するかどうかは別として、選択肢を持っておくことが大切です。