工場での作業は身体への負担が大きく、腰痛や粉塵による呼吸器疾患など、仕事が原因で体調を崩すケースが少なくありません。体調不良で退職する場合の手順と、利用できる制度について解説します。
退職届の書き方
退職理由の記載
体調不良で退職する場合、退職届には「体調不良により業務の継続が困難となりましたので」と記載します。具体的な病名や症状を書く必要はありません。
医師の診断書を取得しておく
退職前に必ず医療機関を受診し、診断書をもらっておきましょう。診断書は以下の場面で必要になります。
- 退職理由の裏付け(会社への説明)
- 労災申請
- 失業保険の特定理由離職者認定
- 傷病手当金の申請
工場勤務で多い体調不良
腰痛
重量物の運搬、長時間の立ち仕事、同じ姿勢の維持などが原因で腰痛を発症するケースが非常に多いです。慢性化すると椎間板ヘルニアや坐骨神経痛に進行することもあります。
粉塵による呼吸器疾患
金属加工、木材加工、溶接作業などで発生する粉塵を長期間吸入することで、じん肺や気管支喘息を発症するリスクがあります。
化学物質による健康被害
塗装工程の有機溶剤、めっき工程の酸やアルカリなど、化学物質に曝露される環境で皮膚炎やアレルギー症状が出ることがあります。
騒音性難聴
プレス機や切削機の騒音に長期間さらされることで、難聴が進行するケースがあります。
労災認定の可能性
仕事が原因で体調を崩した場合、労働災害(労災)として認定される可能性があります。
労災認定されるケース
- 腰痛: 重量物を取り扱う業務で発症した場合(業務上腰痛の認定基準に該当する場合)
- じん肺: 粉塵作業に従事していた場合
- 化学物質中毒: 有機溶剤や特定化学物質による健康被害
- 騒音性難聴: 騒音作業に従事していた場合
労災申請の手順
- 1 医療機関で診察を受ける
- 2 会社に労災申請を申し出る
- 3 労働基準監督署に労災請求書を提出する
- 4 労基署の調査を経て認定・不認定が決まる
会社が労災申請に協力しない場合でも、自分で労働基準監督署に直接申請することができます。
労災認定された場合の給付
- 療養補償給付: 治療費の全額が補償される
- 休業補償給付: 休業4日目から給付基礎日額の約80%が支給される
- 障害補償給付: 後遺障害が残った場合に支給される
退職後に利用できる制度
失業保険の特定理由離職者
体調不良で退職した場合、「特定理由離職者」に認定されると、自己都合退職の1ヶ月の給付制限がなくなります。ハローワークに医師の診断書を提出して相談しましょう。
傷病手当金
退職前に健康保険から傷病手当金を受給していれば、退職後も継続して受給できる可能性があります。標準報酬日額の約3分の2が最大1年6ヶ月間支給されます。
障害年金
長期間の療養が必要で就労が困難な場合、障害年金の受給対象になる可能性があります。初診日から1年6ヶ月経過後に申請できます。
退職前にやるべきこと
- 1 医療機関を受診し、診断書を取得する
- 2 労災に該当するか確認し、該当する場合は申請する
- 3 傷病手当金の受給手続きを行う
- 4 退職届を提出する
- 5 ハローワークで特定理由離職者の認定を受ける
体調不良を我慢して働き続けると、症状が悪化して回復に長期間かかる場合があります。早めに医師に相談し、必要であれば退職して治療に専念することが、長い目で見たキャリアを守ることにつながります。