座談会参加者プロフィール

  • Xさん(24歳・元受電オペレーター・銀行系カスタマーセンター)
  • Yさん(29歳・元発信オペレーター・通信企業)
  • Zさん(27歳・元受電メイン・保険会社)

---

カスハラの実態:「言葉の暴力」の日常

Xさん「銀行の顧客相談窓口だったのですが、投資商品の損失について『お前たちが勧めたから損したんだ』と罵声を浴びることが週に3~4回。その時点で『これは異常だ』と気づくべきでした」

Yさん「通信企業の契約変更窓口だったので、『〇〇というオプションがあると聞いた』という顧客のクレームが毎日。実際は顧客が勘違いしているのに、『詐欺企業』『騙した』と言われます」

Zさん「保険の請求拒否を伝える部署だったんです。『なぜ請求できないんだ』『帰ってこないなら責任を取れ』という脅迫まがいの言葉を受けました。それが1日の大半で、気が狂いそうでした」

---

「対応するのが怖い」段階から「退職」への転機

Xさん「3年目から、受電音が鳴るたびに心臓がバクバクするようになった。『次は誰が怒鳴ってくるのか』『自分のミスで怒られたらどうしよう』という恐怖で、仕事中も休憩中も落ち着けません」

Yさん「発信のため番号をダイヤルする直前に手が震えるようになりました。顧客が怒っている可能性が高い案件だと、10分くらい番号をダイヤルできず、机の下で深呼吸していた」

Zさん「同僚の中に『自分が悪いんじゃなくて、顧客が理不尽なんだ』と切り替えられる人がいたんです。でも自分はそれができず、毎日『自分が至らなかったから怒られている』と自責していました。その状態が4年続いて、もう限界でした」

---

職場の対応と失望

Xさん「SVに『カスハラが多い』と相談したら『あるあるですね。でも顧客もストレスが多いんで、理解してあげてください』と言われました。その瞬間、会社は自分を守ってくれないんだと悟った」

Yさん「会社が『カスハラ対策』として『クッション言葉を使う』とか『相手の気持ちに寄り添う』という研修をしただけ。要するに『オペレーター側で対応方法を工夫しろ』という責任転嫁でした」

Zさん「心療内科の診断書を会社に提出しても『これまで通り勤務してください。配置転換の予定はない』と言われた。その時点で『この会社は従業員を使い捨てにしている』と確信しました」

---

退職を決めた瞬間

Xさん「退職を決めたのは、夜中に顧客からの着信が夢に出てくるようになったときです。寝ても『電話に出ろ』という声が聞こえる。『これ以上は心身ともに危ない』と判断しました」

Yさん「同僚が『パワハラで休職した』という話を聞いたんです。その人の復帰がめちゃくちゃ大変で。『同じ状態になる前に逃げよう』と思いました」

Zさん「日曜夜の23時に『明日から仕事か』と思うと涙が出るようになった。父親に『そこまで追い詰まっているなら、今すぐ辞めろ』と言われて決断しました」

---

退職届の提出と退職の流れ

Xさん「退職届は郵送で提出しました。直接言うと引き止めが強いと感じたので。宛先は人事部長。理由は『一身上の都合により』で、詳しく説明しませんでした」

Yさん「SVに『退職したい』と伝えた途端、『今辞めたら契約社員の評判が下がる』『ボーナス直前だからもう少し待ってくれ』と引き止められました。でも『辞めます』と強気を貫きました」

Zさん「診断書を持って人事部に行き、『医師から退職を勧められた』と伝えました。医学的根拠があると、会社側も強く引き止められません」

---

退職後:新しい人生

Xさん「退職から1ヶ月で、受電音への恐怖がなくなりました。今は在宅のチャットサポートをしています。電話がないだけで、こんなに気持ちが違うのか」

Yさん「発信恐怖症は完全には治りませんが、今は『自分のペースでいい』という環境にいるので、日常生活では困りません。前職に戻ることはありません」

Zさん「派遣を辞めて、事務職の正社員で拾ってくれた会社があります。年収は下がりましたが、カスハラがない環境で『人生が変わった』と感じています」

---

これからのメッセージ

Xさん「カスハラは『顧客が悪い』のです。自分が悪いのではありません。その認識を持てずに責任を感じすぎると、メンタルが壊れます」

Yさん「退職は『逃げ』ではなく『自衛』です。会社が守ってくれないなら、自分で自分を守る。それが当たり前だと気づきました」

Zさん「退職届を出す勇気が出ない人は、まず医師の診断を受けてください。『これは病気のレベル』という認識があると、決断がしやすくなります」