- 名前:小林 真由(仮名)
- 年齢:30歳
- 経験年数:7年
- 勤務先:カスタマーサポートセンター(受電専門)
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Q: メンタル不調の症状について教えてください。
カスタマーサポートセンターで7年間、修理受付やクレーム対応をしてきました。毎日40〜50本の電話を取り、そのうち5〜10本はクレーム案件。「不良品を売りやがって」「今すぐ交換しろ」という怒声を浴びる毎日です。
5年目くらいから、仕事中に涙が出ることが増えました。クレーム対応中ではなく、普通の問い合わせを取っている最中に突然。最初は「疲れているだけ」と思っていましたが、6年目の冬に異変が起きました。
朝、出勤の準備をしている最中に声が出なくなったんです。喉は痛くない、風邪でもない。でも声が出ない。心因性の失声症でした。
Q: 病院での診断と対応について教えてください。
まず耳鼻咽喉科を受診しましたが異常なし。紹介された心療内科で「適応障害による心因性失声症」と診断されました。原因は長年のクレーム対応によるストレスの蓄積。
医師から「声を使う仕事を続ける限り症状は改善しない」と言われました。抗不安薬を処方されましたが、根本的には環境を変える必要があると。
会社には診断書を提出し、まず2週間の休職。その後1ヶ月に延長しました。休職中は少しずつ声が戻りましたが、会社からの電話を見るだけでまた声がかすれる。「戻ったらまた同じことの繰り返しだ」と感じました。
Q: 休職から退職を決断した経緯を教えてください。
休職1ヶ月目の終わりに、センター長から「復帰の見通しはどうか」と連絡がありました。「バックヤード業務(データ入力や品質チェック)に異動させることもできる」と提案されましたが、同じオフィスでクレーム対応の声が聞こえてくる環境に戻る自信がありませんでした。
主治医と相談の上、退職を決断。「今の環境から完全に離れることが回復への近道」というのが医師の見解でした。
Q: 退職届はどのように提出しましたか?
休職中だったので、退職届は郵送で提出しました。宛名は人事部長。理由は「体調不良により業務の継続が困難なため」。診断書のコピーを同封しました。
センター長には事前に電話で伝えました。「本当に残念だけど、体が一番大事だから」と言ってくれました。
傷病手当金は休職開始時に申請済みだったので、退職後も継続受給。退職後の生活費の心配は軽減されました。
引き継ぎは、自分が作成していたクレーム対応のナレッジ集(FAQと対応例文)をデータで送付。個人ロッカーの私物は母に取りに行ってもらいました。
Q: 退職後の回復と現在の状況を教えてください。
退職後2ヶ月で失声症は完全に回復しました。声が自由に出る喜びを噛み締めました。
3ヶ月目からリハビリを兼ねて、ECサイトのチャットサポートのパートを始めました。電話を使わない、テキストベースの顧客対応です。クレームもチャットなら冷静に対処できる。1年後にはフルタイムに復帰し、今はチャットサポートチームのリーダーをしています。
Q: メンタル不調を感じているコールセンター勤務の方にアドバイスをお願いします。
「慣れれば平気」は嘘です。クレーム対応のストレスは蓄積します。涙が出る、眠れない、食欲がない。これらのサインが出たら、すぐに心療内科を受診してください。
退職は「逃げ」ではありません。声が出なくなる前に決断してほしい。コールセンターの経験はチャットサポートやメール対応など、声を使わない職種にも活かせます。選択肢はたくさんあります。
傷病手当金の申請は必ず在職中に。退職後の生活を守るための重要な手続きです。