体験者プロフィール
- 名前:鈴木 健太(仮名)
- 年齢:23歳
- 経験期間:入社から退職まで23日間
- 勤務先:某大手通信企業のコールセンター
- 現在:異業種の営業事務職で活躍中
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新卒でコールセンターを選んだ理由
大学卒業後、『給与が安定している』『研修が充実している』という理由で、大手通信企業のコールセンターに入社しました。
初任給22万円、賞与ありという待遇に『これはいいな』と思いました。
同期は50名。2週間の新人研修が予定されていました。
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研修1週目:違和感の芽生え
新人研修は、座学とロールプレイの繰り返しでした。
月曜:基本的なPC操作、電話マナーの講義。「こんなものか」と思っていました。
火曜~水曜:商品知識の研修。通信プラン、オプションサービス。覚えることが多いが、まだ楽しい段階。
木曜:初めてのロールプレイ。講師が顧客役、受講生が対応者役です。
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違和感の正体
ロールプレイの最中、異変を感じました。
「あ、自分は『この役』ができない人間なんだ」という確信。
理由は明確でした:
- 1 相手の声を聞くだけで緊張する
- 1 複数の情報を同時処理できない
- 1 『早く対応しろ』というプレッシャーに弱い
- 1 顧客のクレーム対応を想像するだけで吐き気
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同期との比較
50名の同期の中に、既にこの職が向いている人と向いていない人の差が見えました。
- 話しかけられるのが苦にならない
- 『複数タスク同時実行』を楽しんでいる
- 『自分の対応で契約が取れた』という達成感を感じている
- 声がかかるのが怖い
- マルチタスクで脳が疲弊
- 『契約を取る』というゴールに心理的な抵抗がある
「これは、もう決まってる。俺には無理だ」と感じました。
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研修2週目:決断
研修2週目に入り、実際の受電を『聞いて学ぶ』セッションがありました。
実務のオペレーターが対応している通話を、イヤホンで聞く。その後、『あの対応の何がよかったか』と講評する。
その中で、以下のシーンを見ました:
顧客「いや、こんなプラン勧められてない。詐欺だ」 オペレーター「申し訳ございません。確認させていただきます」 *(顧客は怒鳴り続ける)* オペレーター「かしこまりました」
この対応を淡々とする先輩を見て、『俺はこのメンタルの強さがない』と確信。その時点で退職を決めました。
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決断から退職まで
研修2週目の木曜(入社11日目)に、研修施設のSVに『不適性を感じる』と伝えました。
SVの反応:「いやいや、研修段階だから。実務やってみたら慣れますよ。多くの新人がこう思う」
気持ちは変わりませんでしたが、言い続けるのは気がひけたので、その日は『検討します』と返答。
翌日の金曜、本社の人事部に電話。退職の意思を伝えました。
人事「新入社員の退職は極めて異例です。本当にそれでいいのですか?」
自分「申し訳ありませんが、この職は自分に合わないと判断しました。迷惑をかけたくないので、早期に決断したいです」
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退職届の提出
退職届は手書きで、『個人の都合により、退職を申し出ます』と記載。理由欄には『適性判断の結果』と書きました。
提出日:入社23日目 最終勤務日:翌週の金曜日
引き継ぎなし。新人研修の途中での退職だったので、引き継ぎ対象がありません。
ただし、『研修で使用したロッカーの片付け』『社員証の返却』『初月給をどう扱うか(返納は不要、とのこと)』という手続きがありました。
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その後
退職から2ヶ月後、営業事務職の正社員として別の企業に入社。
現在3年目。年収は前職より高く、メンタルも安定しています。『新卒でコールセンターに行かなくてよかった』と心から思います。
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若い世代へのメッセージ
『給与が安定している』『研修が充実』という理由だけで、職を選んではいけません。
特にコールセンターは『適性が如実に出る職種』です。研修1週目で『これ、無理だ』と感じたら、その感覚は正しい可能性が高いです。
新卒採用直後の退職は『キャリアに傷がつく』と思うかもしれませんが、3年続けてメンタルを壊すより、早期決断して別の道を探る方が人生は良くなります。
自分の適性を正直に受け入れることが、最高の自己投資です。