かかりつけ薬剤師が退職する際の患者対応と同意書の取り扱いについて解説します。
かかりつけ薬剤師制度の概要
かかりつけ薬剤師指導料は、患者が特定の薬剤師を「かかりつけ」として選び、同意書に署名することで算定できる調剤報酬です。
かかりつけ薬剤師の要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 薬剤師経験 | 保険薬剤師として3年以上の経験 |
| 勤務期間 | 当該薬局に1年以上勤務(週32時間以上) |
| 研修認定 | 研修認定薬剤師を取得 |
| 地域活動 | 地域の多職種連携への参画 |
退職時の患者対応
誰が患者に説明するか
原則として、退職する薬剤師本人が担当患者に退職の旨を伝えるのが望ましいです。ただし、体調不良等で対応できない場合は、薬局側が対応します。
患者への説明のポイント
- 退職の事実を伝える: 「○月○日をもちまして退職することになりました」
- 後任を紹介する: 「今後は○○が担当させていただきます」
- 患者の選択権を伝える: かかりつけ薬剤師の変更または解除は患者の自由であること
- 処方内容の引き継ぎ: お薬手帳や薬歴に基づく情報は後任に引き継ぐこと
説明のタイミング
退職の2〜4週間前から、来局時に順次説明するのが理想的です。全ての患者に直接伝えられない場合は、薬局から書面や電話で連絡します。
同意書の取り扱い
既存の同意書はどうなるか
かかりつけ薬剤師の同意書は、特定の薬剤師に対する同意です。その薬剤師が退職すれば、同意書は自動的に効力を失います。
後任のかかりつけ薬剤師への切り替え
後任がかかりつけ薬剤師の要件を満たしている場合、以下の手続きが必要です。
- 1 患者に後任のかかりつけ薬剤師を提案する
- 2 患者が同意すれば、新たな同意書に署名してもらう
- 3 新しい同意書に基づき、かかりつけ薬剤師指導料を算定する
同意書の再取得のポイント
- 再取得は後任の薬剤師が行う(退職者の義務ではない)
- 患者には「かかりつけ薬剤師を置かない」選択肢もある
- 無理に再取得を迫らない
かかりつけ指導料への影響
薬局経営への影響
かかりつけ薬剤師の退職は、薬局の調剤報酬に直接影響します。
- かかりつけ薬剤師指導料: 76点 → 算定不可に
- かかりつけ薬剤師包括管理料: 291点 → 算定不可に
- 後任がかかりつけ要件を満たすまで、算定できない期間が生じる
退職者への影響
調剤報酬への影響は薬局経営の問題であり、退職する薬剤師が責任を負う必要はありません。「かかりつけ患者がいるから辞められない」ということはありません。
引き継ぎで準備すべき資料
退職する薬剤師が準備すべき引き継ぎ資料は以下の通りです。
- かかりつけ患者の一覧(氏名・同意日・主な処方内容)
- 各患者の服薬上の注意点・アレルギー情報
- 残薬調整の状況
- 医療機関との連携状況
- 在宅訪問を行っている患者の情報
円満退職のために
- 引き継ぎ期間を十分に確保する(最低2週間)
- 患者への説明は丁寧かつ誠実に行う
- 薬歴を最新の状態に更新しておく
- 後任が質問できる連絡手段を一時的に残す(任意)
まとめ
かかりつけ薬剤師の退職は患者対応が重要ですが、退職の権利は変わりません。同意書の再取得は後任の仕事であり、退職者の義務ではありません。患者への丁寧な説明と引き継ぎ資料の作成を行い、円満退職を目指しましょう。