# 薬局長のパワハラと閉鎖的な職場に限界|病院薬剤師6年目の退職
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 木村 拓也さん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 病院薬剤師 6年
- 勤務先: 病院
- 退職後: 調剤薬局チェーンに転職
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Q: どのようなパワハラを受けていたのですか?
入職して3年目くらいから、薬局長との関係が悪化しました。きっかけは、医師の処方に疑問を感じて疑義照会を行ったことです。結果的に処方変更になったのですが、薬局長から「医師の機嫌を損ねるな」「余計なことをするな」と叱責されました。
それ以降、薬局長からの当たりが強くなりました。具体的には、調剤ミスを全体ミーティングで名指しで公開される、夜勤シフトを不公平に多く割り当てられる、学会発表のテーマを却下される、などです。
病院薬剤部は閉鎖的な環境なので、薬局長の権限が絶大なんです。20人程度の薬剤部で、薬局長に逆らえる人はいませんでした。
Q: 同僚や他部署に相談しましたか?
同期の薬剤師2人には愚痴を聞いてもらっていましたが、彼らも同じように薬局長に不満を抱えていて、具体的な解決にはなりませんでした。
病院の人事課に相談したこともあります。ただ、「薬局長は長年の実績がある方だから」「あなたの受け取り方の問題では」という反応で、対応してもらえませんでした。病院は診療科ごとに独立した組織なので、薬剤部の問題に人事が介入しにくい構造があります。
外部の相談窓口として、都道府県薬剤師会の相談窓口にも電話しましたが、「個別の雇用問題は対応できない」とのことでした。最終的に労働基準監督署に相談しましたが、パワハラの立証は難しいと言われました。
Q: 退職を決断した瞬間を教えてください。
決定打は、自分が担当していた病棟薬剤業務を突然外されたことです。理由の説明もなく、翌週から調剤室の単純業務だけに回されました。病棟で築いた医師や看護師との関係、患者さんとの信頼関係を一方的に断ち切られた気持ちでした。
その夜、「このまま何年もこの人の下で働くのか」と考えたら、答えは明確でした。薬剤師としての自分のキャリアを、一人の上司のせいで棒に振るわけにはいかない。
Q: 退職の手続きはスムーズに進みましたか?
退職届は薬局長を通さず、直接人事課に提出しました。薬局長に直接渡すのは精神的に無理でしたし、握りつぶされるリスクもあると考えたためです。就業規則を確認して、退職届は退職日の1ヶ月前までに提出すればよいことを確認した上で行動しました。
薬局長からは「急に辞められては困る」と引き止められましたが、「退職届は受理されたと人事課から聞いています」と伝えたら、それ以上は何も言ってきませんでした。
病院薬剤師の場合、当直やオンコールのシフトがあるので、退職日までのシフト調整が必要です。退職月の当直を減らしてもらえるよう人事課を通じて交渉しました。
Q: 引き継ぎで特に注意したことは?
病院薬剤師特有の引き継ぎとして、以下に注意しました。
- DI(医薬品情報)業務の引き継ぎ: 問い合わせ対応の記録、医師への情報提供のルーティン
- 院内製剤の調製手順書: 自分が作成した手順書の最新版を共有
- 委員会活動(感染制御委員会、医薬品安全管理委員会など)の引き継ぎ
- 薬学生の実習指導担当の引き継ぎ
全てを文書化して、後任の薬剤師に直接説明する時間も設けました。患者さんや医療スタッフに迷惑をかけないことが最優先です。
Q: 転職後の変化と、同じ状況の方へのメッセージをお願いします。
調剤薬局チェーンに転職して、今は管理薬剤師として働いています。年収は若干下がりましたが、職場の人間関係が良好で、毎日ストレスなく働けています。
病院薬剤師のスキルは調剤薬局でも高く評価されます。特に、注射薬の知識やDI業務の経験は、他のスタッフにないstrong>強みになります。
パワハラを受けている薬剤師の方に伝えたいのは、「我慢しても状況は改善しない」ということです。特に病院薬剤部は人事異動が少ないので、上司が変わることを期待しても難しい。自分が動くしかありません。
退職届を出す前に、証拠の記録をしっかり残しておいてください。日時、場所、発言内容、目撃者をメモに残す。メールやチャットのスクリーンショットも保存する。退職後に労働問題として争う可能性がある場合、これらの記録が重要になります。
薬剤師免許があれば、転職先は必ず見つかります。自分の健康とキャリアを守るために、退職という選択肢を恐れないでください。