# 過労で倒れて退職を決意|ドラッグストア薬剤師8年目の限界

インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 加藤 真理さん(仮名)
  • 年齢: 32歳
  • 経験年数: ドラッグストア 薬剤師 8年
  • 勤務先: ドラッグストアチェーン
  • 現在: 退職後、半年間の療養を経てパート薬剤師として復帰

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Q: 体調を崩し始めたのはいつ頃からですか?

6年目くらいからです。店舗の管理薬剤師になって、調剤業務に加えてOTC販売、スタッフ管理、棚卸し、本社への報告書作成など、業務量が一気に増えました。

ドラッグストアは営業時間が長いんです。朝9時から夜10時まで開いている店舗で、薬剤師が自分ともう一人しかいない。もう一人が休むと、一人で朝から晩まで調剤もOTC対応もしなければなりません。昼食を取る時間もない日がありました。

最初に出た症状はめまいです。調剤中に急に視界がぐるぐる回って、カウンターにつかまって耐えたことがありました。それ以降、頭痛、肩こり、胃痛が慢性的に続くようになりました。

Q: 会社に相談はしましたか?

何度もしました。エリアマネージャーに「薬剤師を増員してほしい」と訴えましたが、「人手不足はどこも同じ」「頑張ってくれ」の一点張りでした。

ドラッグストア業界全体が薬剤師不足なんです。特に地方の店舗は深刻で、求人を出しても応募が来ない。結果的に、既存のスタッフに負担が集中する悪循環です。

労働時間の記録を確認すると、月の残業時間が80時間を超える月が何度もありました。いわゆる「過労死ライン」です。でも、ドラッグストアの場合は残業代がきちんと出るため、「稼げている」と錯覚してしまい、問題意識が薄れていたのも事実です。

Q: 決定的に体調を崩したのはいつですか?

8年目の冬、インフルエンザの流行期です。薬を求めるお客さんが殺到する中、もう一人の薬剤師がインフルエンザに感染して欠勤。一人で店舗を回していた3日目の夕方に、突然倒れました。

救急搬送されて、診断は「過労による自律神経失調症」でした。血圧が異常に低下しており、医師から「このまま続けたら取り返しのつかないことになる」と言われました。

Q: 休職と退職、どちらを選びましたか?

最初は休職を選びました。会社の就業規則で最大6ヶ月の傷病休職が認められていました。傷病手当金として給料の約3分の2が健康保険から支給されます。

ただ、休職中に冷静に考えて、復帰しても同じ環境が待っていることに気づきました。薬剤師の増員は見込めないし、業務量は変わらない。同じことの繰り返しになると確信して、3ヶ月の休職後に退職を決めました。

Q: 退職の手続きについて教えてください。

休職中だったので、エリアマネージャーに電話で退職の意思を伝えました。「体調が回復したら戻ってきてほしい」と慰留されましたが、診断書を根拠に「現在の業務環境では再発のリスクが高い」と説明しました。

退職届は郵送で本社人事部に送付しました。このサイトのテンプレートで作成した退職届を使い、理由は「一身上の都合」としました。体調不良が理由でも、退職届に病名を書く必要はありません。

管理薬剤師だったので、退職に伴い保健所への届出変更が必要です。これは会社側の責任で行いますが、確実に手続きされるよう人事部に念押ししました。

  • 源泉徴収票
  • 離職票(失業保険の手続きに必要)
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 雇用保険被保険者証

Q: 退職後の回復過程と現在の状況を教えてください。

退職後は半年間、完全に仕事から離れました。最初の2ヶ月は何もする気力がなく、自宅でひたすら休んでいました。3ヶ月目から散歩を始め、4ヶ月目に軽い運動を再開。体調が安定してきたのは5ヶ月目頃でした。

現在は調剤薬局でパート薬剤師として、週3日・1日6時間だけ働いています。年収は大幅に下がりましたが、体調は完全に回復しました。将来的にはフルタイムに戻ることも考えていますが、今は無理をしないことを最優先にしています。

Q: 同じ状況の薬剤師へのアドバイスをお願いします。

「薬剤師がいないと店が回らない」というプレッシャーで辞められない方が多いと思います。でも、あなたの健康より大切な仕事はありません。あなたが倒れたら、会社はまた別の薬剤師を探すだけです。

体調に異変を感じたら、すぐに受診してください。そして、残業時間の記録を必ず残してください。月80時間を超える残業が続いている場合、労災認定の対象になる可能性があります。

退職を決めたら、傷病手当金の申請を忘れないでください。退職後も条件を満たせば最長1年6ヶ月受給できます。経済的な安全網があるだけで、気持ちがだいぶ楽になります。

薬剤師免許があれば、パートでも時給2,000円以上で働けます。焦らず体調を優先して、回復してから次のステップを考えましょう。