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試用期間中の退職届の書き方|即日退職は可能?

「試用期間中だけど、もう辞めたい」「試用期間中の退職届はどう書けばいいの?」――入社してすぐに職場が合わないと感じた場合、退職を考えるのは決して珍しいことではありません。しかし、試用期間中の退職には通常の退職とは異なる疑問や不安がつきまといます。本記事では、試用期間中の退職届の書き方、法的なルール、即日退職の可否、注意すべきポイントを詳しく解説します。

試用期間中でも退職は可能

結論から言えば、試用期間中であっても労働者はいつでも退職の意思を表明できます。試用期間だからといって退職できないということはありません。

民法第627条第1項(抜粋)

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」

この規定は試用期間中であっても同様に適用されます。つまり、試用期間中の正社員(期間の定めのない雇用)であれば、退職届を提出してから2週間が経過すれば退職が成立します。会社の承認は法律上必要ありません。

「試用期間中は辞められない」「試用期間が終わるまで待ってほしい」と会社から言われるケースがありますが、法律上はそのような制限はありません。退職の自由は労働者の基本的な権利として保障されています。

試用期間の法的な位置づけ

試用期間について正しく理解するために、その法的な性質を確認しておきましょう。

「解約権留保付き雇用契約」とは

判例上、試用期間は「解約権留保付き雇用契約」と解されています(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日判決)。これは、使用者(会社)側に通常よりも広い範囲で解約権(本採用拒否権)が認められた雇用契約のことです。

試用期間中でも雇用契約は成立している

試用期間は「お試し」ではなく、法的には正式な雇用契約です。そのため、労働基準法や民法の退職に関するルールがそのまま適用されます。

解約権の留保は「使用者側」の話

試用期間における解約権留保とは、使用者が本採用を拒否できる権利のことです。これは労働者からの退職とは別の問題であり、労働者の退職の自由には影響しません。

「試用期間14日以内の解雇は予告不要」は使用者側のルール

労働基準法第21条では、試用期間中の者で14日以内の場合、使用者は解雇予告なしに解雇できると定めています。しかし、これはあくまで使用者が従業員を解雇する場合のルールです。労働者が自ら退職する場合には関係がなく、試用期間14日以内であっても民法627条の2週間前ルールが原則として適用されます。

試用期間中の退職届の書き方

試用期間中の退職届は、通常の退職届と基本的に同じ形式で問題ありません。退職理由は「一身上の都合」と書くのが一般的です。試用期間中であることを特別に記載する必要はありません。

試用期間中の退職届 例文

令和○年○月○日

株式会社○○○○

代表取締役 ○○ ○○ 殿

○○部○○課

○○ ○○

退職届

このたび、一身上の都合により、令和○年○月○日をもちまして退職いたしたく、ここにお届けいたします。

※ 退職日は、退職届の提出日から2週間以上先の日付を記載します。

書き方のポイント

  • 退職理由は「一身上の都合」で十分。詳細な理由を書く義務はない
  • 宛先は代表取締役(社長)名とするのが一般的
  • 提出日と退職日を明記する。退職日は提出日から2週間以上先に設定
  • 「退職届」と「退職願」は意味が異なる。確定的に退職する場合は「退職届」を使う
  • 試用期間中であることや入社日を記載する必要はない

退職理由を聞かれた場合

口頭で退職理由を聞かれた場合は、正直に答えても構いませんが、詳しく説明する法的義務はありません。以下のような表現が無難です。

  • 「自身のキャリアについて考え直した結果、退職を決めました」
  • 「業務内容が自分の適性と合わないと感じました」
  • 「家庭の事情により、勤務の継続が難しくなりました」

試用期間中の退職で注意すべきポイント

試用期間中に退職する場合、通常の退職とは異なるいくつかの注意点があります。特に社会保険や今後の転職活動への影響を事前に確認しておきましょう。

社会保険・雇用保険の加入状況を確認する

  • 試用期間中でも、入社日から社会保険(健康保険・厚生年金)と雇用保険に加入しているのが原則
  • 退職後は国民健康保険への切り替え、または任意継続被保険者の手続きが必要
  • 雇用保険の加入期間が短い場合、失業手当(基本手当)の受給資格を満たさない可能性がある
  • 社会保険に加入していれば、退職後に資格喪失証明書を受け取ること

履歴書への記載について

  • 原則として、試用期間中の退職であっても履歴書に記載するのが望ましい
  • 社会保険に加入していた場合は年金記録や保険加入歴に記録が残る
  • 記載せず後で判明した場合、経歴詐称とみなされるリスクがある
  • 記載する場合は「試用期間中に退職」と書く必要はなく、通常の入退社として記載すればよい
  • ただし、入社後数日で退職し社会保険手続きが完了していない場合は、記載しなくても発覚しにくいケースもある

給与・退職金について

  • 試用期間中に退職しても、実際に働いた分の給与は全額支払われる(ノーワーク・ノーペイの原則)
  • 退職金は多くの場合、試用期間中の退職では支給対象外となる(就業規則を確認)
  • 給与が支払われない場合は労働基準監督署に相談できる

有期雇用契約の場合の注意

  • 契約社員や派遣社員で雇用期間が定められている場合、民法627条ではなく民法628条が適用される
  • 有期雇用では原則として契約期間中の退職はできない。ただし「やむを得ない事由」があれば即時退職が可能
  • 1年を超える有期雇用契約の場合、1年経過後はいつでも退職できる(労働基準法第137条)

試用期間中に即日退職できるケース

試用期間中であっても、即日退職が認められるのは通常の退職と同じ条件です。以下のケースでは、2週間を待たずに退職できる可能性があります。

1. 会社との合意がある場合

会社側が即日退職に同意すれば、2週間の予告期間を置かずに退職できます。試用期間中は引き継ぎ事項が少ないことが多いため、実際には合意を得やすいケースもあります。上司に退職の意思を伝える際に、希望する退職日を相談してみましょう。

2. やむを得ない事由がある場合(民法第628条)

以下のような事情がある場合は、即日退職が法的に認められる可能性があります。

  • 入社前に聞いていた労働条件と実態が大きく異なる(労働条件の相違)
  • パワハラ、セクハラなどのハラスメントを受けている
  • 賃金が約束通りに支払われない
  • 心身の健康を害し、医師から就労不可と診断された
  • 違法な業務を強要されている

特に「労働条件の相違」は試用期間中に発覚しやすい事由であり、労働基準法第15条第2項でも「明示された労働条件と事実が相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができる」と規定されています。

3. 労働条件の明示義務違反がある場合

労働基準法第15条第2項:「前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」

求人情報や雇用契約書に記載された条件(給与、勤務時間、業務内容、勤務地など)と実際の条件が異なる場合、この規定に基づいて即時退職が可能です。試用期間中に条件の相違が判明した場合は、具体的な相違点を記録しておきましょう。

退職を切り出すタイミングと伝え方

試用期間中の退職は気まずく感じるものですが、早めに意思を伝えることが双方にとって最善です。

退職を伝えるタイミング

  • 退職を決意したら、できるだけ早く直属の上司に伝える
  • 法律上は退職届提出から2週間で退職が成立するが、就業規則で「1か月前」と定めている会社もある
  • 就業規則の定めは法的拘束力に議論があるが、円満退職のためにはできるだけ従うのが望ましい
  • 「もう少し頑張ってみないか」と引き止められることがあるが、意思が固い場合は丁寧に断ってよい

伝え方のポイント

  • まずは口頭で直属の上司に伝え、その後に退職届を提出する
  • いきなり退職届を突きつけるのではなく、面談の時間をもらう形が丁寧
  • 会社への不満を感情的に述べるのではなく、前向きな理由を簡潔に伝える
  • 短期間でも世話になったことへの感謝を伝える

伝え方の例文

「お忙しいところ恐れ入りますが、少しお時間をいただけますでしょうか。」

「大変申し訳ございませんが、退職させていただきたくご相談に伺いました。自分のキャリアについて改めて考えた結果、現在の業務が自分の目指す方向と異なると感じました。短い期間ではございましたが、ご指導いただきありがとうございました。」

※ 詳しい退職理由を説明する義務はありません。聞かれた場合も「一身上の都合」で通せます。

退職届の提出方法

  • 手渡しが基本。上司との面談時に直接渡すのが一般的
  • 出社が難しい場合は、内容証明郵便で送付すれば法的に有効
  • メールでの退職届も法的には有効だが、内容証明郵便の方が証拠力が高い

よくある質問

Q. 試用期間中でも退職届は必要ですか?

A. はい、試用期間中であっても正式な雇用契約が成立しているため、退職届の提出が必要です。口頭で退職の意思を伝えるだけでも法的には有効ですが、言った言わないのトラブルを防ぐために書面で提出しましょう。

Q. 試用期間中に即日退職することはできますか?

A. 原則として即日退職はできません。試用期間中でも民法627条の2週間ルールが適用されます。ただし、会社との合意がある場合や、ハラスメント・賃金未払い・労働条件の相違などやむを得ない事由がある場合は即日退職が認められる可能性があります。

Q. 試用期間中の退職は履歴書に書く必要がありますか?

A. 原則として記載するのが望ましいです。社会保険に加入していた場合は年金記録や保険加入歴に記録が残るため、記載しないと経歴詐称とみなされるリスクがあります。記載する際は「試用期間中に退職」と書く必要はなく、通常の入退社として記載すれば問題ありません。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。個別の状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

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